〈動画あり〉有終の大ジャンプ 清水礼留飛、現役引退試合 最後の勇姿披露 家族や親友も目に焼き付け

競技1回目、119メートルのジャンプを見せる清水選手

スキージャンプ男子で今季限りで引退する妙高市出身の清水礼留飛選手(30、雪印メグミルクスキー部、新井高出)が16日、札幌市・大倉山ジャンプ競技場で行われた伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイタージャンプ大会に出場。1回目に119メートル、2回目にK点越えの124メートルを飛び2位となり、有終の美を飾った。

2回目、鋭い踏み切りからK点を越えると着地して両手を突き上げた。現役最後の試合でチームメートの佐藤幸椰選手(28)に続く2位に入った。競技後は、今季で引退する6選手の〝ラストフライト〟。スタートのゲート位置は自分で調整できる。礼留飛選手は145メートルの大ジャンプで締めると、ランディングバーンで仲間から胴上げで送り出された。

惜別のメッセージがいっぱいに記されたジャンプスーツに身を包み、長女の希帆ちゃん(3)を見つけると抱きかかえた。愛娘からは手製の金メダルが贈られ、観客席から「礼留飛ありがとう」「お疲れさま」とメッセージが飛んだ。会見中は涙もあったが、最後は満面に「礼留飛スマイル」を浮かべた。

2014年のソチ五輪団体で銅メダルを獲得してから、ジャンプのスタイルを「試行錯誤」し苦しい時期が続いたが、「決して順風満帆じゃないですし、天国も地獄も経験できたことは将来の僕の人生に大きな12年間(入社後の期間)だったと思う」と振り返った。 引退セレモニーのあいさつでは「遊びで始めたスキーが、多くの方々の支えにより夢をかなえることができ、本当に幸せなスキー人生でした。素晴らしい景色も見ることができましたし、貪欲に飛距離を追い求めて試行錯誤した日々は僕にとって宝物です。ジャンプをやってきた経験を今後の人生に生かして一歩ずつ一生懸命、諦めずに頑張りたい。本当に長い間お世話になりました。ありがとうございました」と話し、大きな拍手を浴びた。

会場に夫妻で駆け付けた父・久之さん(63)は「いつか引退はあると思っていたけど、いざとなると。涙が出るね。最後、目に焼き付けたい」と目を潤ませて話した。

母校・妙高高原中生徒らが記したメッセージ入りの横断幕を掲げて応援した、幼なじみで元複合選手の曽根原郷さん(30、妙高市役所)は「まだまだいけるという思いはあるけど、最後まで全力で飛び続けたのは、ジャンプが好きな礼留飛らしい」と親友のラストフライトを見届けた。新井高スキー部で同僚だった元クロスカントリー選手の湯本拓海さん(30、上越消防署)も「最後の姿を生で見られて、一緒の時間を過ごせて良かった」と励まし合った仲間の勇姿を脳裏に刻んだ。

長野五輪団体金メダリストで、スキー部の岡部孝信総監督(53)は「現役で一緒にやっている時から天真爛漫で、明るい雰囲気をつくってくれた。今季はキャプテンとしてチームをまとめてくれた」とねぎらい、「遠くに飛ぶための必要な要素を一番持っていた。鋭く前方に飛び出していく。それができた時にはぶっ飛んでいく感じだった」と評してたたえた。

2位に入り有終の美を飾った清水選手(左)。1位佐藤選手(中央)、3位工藤漱太選手と、雪印メグミルク勢が表彰台を独占した
母校・妙高高原中の生徒も記した「感動をありがとう」、「TAKE OFF RERUHI」の横断幕を持って声援を送った、新井高スキー部同期の曽根原さん(左)と湯本さん(中央)、十日町高スキー部出身で同学年の佐藤友樹さん

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