トレード成績が安定しない、現状のトレードスキルからステップアップしたい……FXでそのように悩んだら、とある思考法を取り入れるべきと株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。一体どのような思考法でしょうか? みていきます。
FXで成功するために重要な「後ろ向き推論」とは?
なぜ地球上で人類だけが大きく進化したのでしょうか? なぜほかの動物は人間のように技術や科学を発展させ、文明を発展させることができなかったのでしょうか?
人類の急速な進化を支えた要因のひとつが「思考法」です。そのなかでも、結果から原因を推測する「後ろ向き推論」が科学や技術の発展を支えました。
思考能力は、主に「前向き推論」と「後ろ向き推論」の2つにわけられます。
「前向き推論」と「後ろ向き推論」
前向き推論とは、物事の先の未来を推測する推論を指します。冬の食料が少ない季節に備えて、夏のあいだに食料を調達する行為は、本能にすり込まれた推論力といえます。前向き推論をする思考能力は、さまざまな動物が持ち合わせている能力で、自然界で生き残るために必要な思考法といえるでしょう。
対して「後ろ向き推論」とは、結果から原因を推測する能力を指します。「前向き推論」とは異なり、後ろ向き推論は事象の原因や因果関係を突き詰める必要があるため、思考能力が高くなければ実施することができません。少なくとも人類は結果から推測する能力が高かったため、わずかな時間で大きな発展を遂げることができたのです。
人類の進歩に大きく関わってきた後ろ向き推論は、日常の生活に役立つだけでなく、FXで成功するためにも必要な思考能力です。
FXで「後ろ向き推論」が重宝される理由
後ろ向き推論は、FXで成功するうえで欠かせない能力です。
一部の天才的なプロトレーダーは、相場の流れを感覚的に捉えて大きな利益を出しています。感覚的なトレードを行う場合は、単に未来を考えるだけの前向き推論だけで問題ないでしょう。
しかし、初心者トレーダーや、トレーダーとして経験が浅いトレーダーは、感覚的にトレードするだけでは安定した収益を出すことはできません。その際に必要となる能力が、後ろ向き推論を行う力です。
日々のトレードを記録している人も多いでしょう。トレードの記録は、過去の結果をもとに次のトレード戦略を立てるものです。実は、トレードの記録は後ろ向き推論のひとつでもあります。何気なく行っているチャートの過去検証や、トレードの振り返りは、人類に急速な発展をもたらした後ろ向き推論の一部なのです。
また、プロトレーダーはテクニカル分析を行う際に、過去のチャートの動きを分析した結果に基づいて、確率的にチャートの動きを推測します。
「後ろ向き推論」は、FXトレーダーにとって切り離せない思考法で、安定的に利益を出しているトレーダーは本能的に行っているのです。初心者トレーダーは、結果から原因を推測し、次のトレードを確率的に考えられるかどうかということが、FXトレーダーとして求められていることを意識するべきでしょう。
「結果」から「原因」を探れるようになる
プロトレーダーは、相場の流れを確率的に想定することが非常に得意です。また、確率的に有利なトレードを続けていれば、自然と利益が上がっていくことを理解しています。効率よく、最短で相場の世界で利益を出していくためには、結果から原因を論理的に導き出す能力が必要であることも理解しています。
そのため、プロトレーダーは自分のトレード能力を上げるために、トレードをするたびに後ろ向き推論を行うことを心掛けています。トレードを行うたびにトレードの内容を記録して、トレードの結果とポジションを持った動機を照らし合わせます。自分のトレード動機が結果に結びついていなかった場合、自分が原因を探る方向性が正しかったのかを検討します。
プロトレーダーが初心者トレーダーと異なる点は、日々のトレードを論理的に捉えて、トレードを改善するための検証を積み重ねているかどうかという点です。日々の積み重ねが最終的に大きな結果の違いとして現れるのです。
今回は、人間の特権である後ろ向き推論について解説しました。また、FXで成功するためには、結果から原因を推測する能力が非常に大切であることも解説しました。
初心者トレーダーの多くは「なんとなく」ポジションを取って、損益に一喜一憂するトレードを行なっています。プロトレーダーのように安定した収益を出していくためには、結果から原因を探る能力を日々のトレードで身につけていかなければなりません。
日常の考え方をひとつ変えれば、あなたもプロトレーダーになることができるでしょう。
清水 一喜
株式会社ソーシャルインベストメント
執行役員