世界的に競技人口の多いクリケット 沖縄に住むネパール人が初の大会「顔を合わせるだけでも楽しい」 協会設立から3年 4チームが2日間リーグ戦

投手(右)がワンバウンドで投げたボールを木製バッドで巧みにはじき返す打者(中央)=10日、浦添市西洲・浦添埠頭南緑地

 沖縄県内に住むネパール人が母国で人気のスポーツを通して交流を深めようと「沖縄ネパールクリケット協会」(チェトリ・サロジ会長)を3年前に立ち上げた。週に1回の練習などを通してその輪が広がり、9、10日には浦添市内で初の大会が実現。選手は4チームで計50人余、観客を含め100人余がグラウンドに詰めかけ、声援を送るなど楽しんだ。(整理部・溝井洋輔)

 クリケットは英国や豪州、インドなどで盛んに行われ、競技人口はサッカーやバスケットボールと肩を並べ世界上位にある。ネパールでは最も人気のあるスポーツの一つだ。

 県内に住むネパール人は2023年6月現在、国別で最も多い3600人余となっている。その母国の人気スポーツで交流をしようと、県在住11年目になるサロジさん(32)=ダイコクドラッグ店長=が2019年ごろに有志で集まりプレーし始めた。21年には協会を立ち上げ、参加を呼びかけるとともに道具をそろえ、徐々に本格化させている。

 浦添市西洲の浦添埠頭(ふとう)南緑地で行われた初の大会。1チーム11~15人を4チームつくることで初めて実現した。黄色や赤などユニホームをそろえ、2日間にわたってリーグ戦を楽しんだ。幼い子の手を引く家族連れが応援に来るなど和やかな雰囲気で行われた。

 サロジさんは「多くの人がネパールでやっていたので、みんな楽しんでいる。日本の人にも参加してもらって、もっと大きな大会を開いてみたい」と、さらに輪を広げたい考えだ。

 発足メンバーの一人、トーリパティ・スバスさん(33)=ローソン店長=にとってもクリケットは小学校から中学、高校、大学とずっと身近な競技。「みんな厳しい生活を送るなかでも楽しいことができたらと思う。顔を合わせるだけでも楽しい」と意義を語った。

初めての大会に出場した沖縄ネパールクリケット協会のメンバー=9日、浦添市西洲・浦添埠頭南緑地

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