香り成分自在に組み替える新装置 岩手大と島津製作所が開発

アロマデザイナー(仮称)の使い方を説明する宮崎雅雄教授(右)と島津製作所の担当者

 岩手大と京都市の精密機器メーカー島津製作所(山本靖則社長)は、香りの成分を自在に組み替えることのできる装置「アロマデザイナー(仮称)」を共同開発した。香りの形成に重要な化学物質を効率的に特定できるようになり、食品や芳香剤などの商品開発や異臭の原因究明など、幅広い活用が期待される。両者によると、同様の装置は国内外で例がない。

 同社のガスクロマトグラフ質量分析計を基に開発した。液体を化学物質単位で分離し成分分析する装置で、同大農学部の宮崎雅雄教授(49)=分子生体機能学=は分離後の化学物質の回収に着目。同社が改良を重ね、特定の成分を取り除いたり、別の成分に置き換えたりして袋に回収できるようになった。

 宮崎教授らによると、天然物の香りは数十から数百種類の化学物質の組み合わせによる。香りを特徴づける化学物質を特定するには構成比を変えて調香する手作業を繰り返す必要があり、熟練した技術と手間がかかっていた。アロマデザイナーは手元の試料から自在にアレンジできるため、大幅な効率化が図られる。

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