トヨタ4連覇がかかるサファリ・ラリーは「最速よりも賢明さが重要」とラトバラ代表。シュノーケルのアップデートも

 3月28~31日にかけて、2024年WRC世界ラリー選手権の第3戦である第71回『サファリ・ラリー・ケニア』が開催される。

 現在、マニュファクチャラー選手権ランキングで首位タイにつけているTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、この歴史あるラリーへ3台のトヨタGRヤリス・ラリー1を送り込み、4年連続の優勝を目指す。

 今大会には、2024年シーズンのレギュラーペアであるエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)と勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に加えて、2022年に同ラリーを勝利しているカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が参戦。この3組が挑むサファリ・ラリーは、チームがもっとも得意とするラリーのひとつで、トヨタは2021~2023年に3連覇を飾っており、これまでに通算11勝を記録している。

1-2-3-4フィニッシュを飾り表彰台を独占したTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT) 2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア

 WRCのなかでもっとも過酷なラリーのひとつに挙げられるサファリ・ラリーを前に、チームはパフォーマンスと信頼性の向上を目指してアップデートしたサスペンションを投入。さらに、一部変更となったレギュレーションに沿って、“シュノーケル”と呼ばれる吸気用のパイプをクルマの外側に取り付ける改良を施したという。

 シュノーケルを装着することで、クルマの高い位置に吸気口をバイパスさせることができ、深い水溜まりや砂に覆われた路面を通過する際に、エンジンがそれらを吸い込みにくくする効果が見込まれる。かつてはこのサファリ・ラリーで多くのクルマがシュノーケルを装着して走行し、それが外観的な大きな特長になっていたが、2024年はその独特なスタイルが復活することとなった。

1993年WRC第4戦サファリ・ラリー・ケニア トップ4を独占したトヨタ・セリカGT-FOUR(ST185)(写真は優勝のユハ・カンクネン/ユハ・ピロネン組)

 ただ今回のサファリ・ラリーは、過去3年間と異なる開催時期に行われることも重要なポイントのひとつだ。近年は乾季に相当する6月に開催されてきたが、2024年は伝統的な開催時期である3月の下旬に移動。この時期のケニアは雨が多く、サバンナの路面を覆う目の細かな砂状のグラベル(未舗装路)は雨が降ると滑りやすい泥に変化するため、より困難な路面コンディションでの戦いが予想される。

 今回も非常にタフな戦いとなると目されるサファリ・ラリー・ケニアは、4日間で19本のステージを走行し、その合計距離は367.76km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1267.57kmが予定されている。ラリーの中心となるサービスパークは、4年連続で首都ナイロビから北側に約100km離れたナイバシャ湖の近くに置かれ、ラリーのルートも大部分は昨年大会と重なっている。

 4連覇を目標に、3台のトヨタGRヤリス・ラリー1を率いて大会に臨むヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「今年に関しては開催時期が変わったことにより、これまでとは違うチャレンジになるかもしれない」と慎重な心持を語る。

TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームのヤリ-マティ・ラトバラ代表

「つねに忍耐が求められるラリーであるが、難しい天候になった場合はなおさらだ。最速であることよりも、賢明さが何よりも重要になるだろう」

「我々のチームのドライバーたちはみな、これまでうまく戦ってきたし、今回もまたトヨタが優勝するシーンを見たいと思っているよ」

 2024年シーズンの開幕2戦を終え、最大のライバルであるヒョンデ・シェル・モービスWRTに2大会とも優勝を奪われているTGR-WRT。チームが3年連続で優勝を重ねてきたサファリ・ラリーでは、今季初優勝を挙げることができるのか。TGR-WRT勢の好走に期待が高まる第71回『サファリ・ラリー・ケニア』は、現地時間3月27日10時(日本時間27日16時)から行われるシェイクダウンにて幕が開ける。

2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア トヨタGRヤリス・ラリー1(勝田貴元/アーロン・ジョンストン)

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