中東のeスポーツシーンがヒートアップしています。史上最大規模の大会になると目されるEsports World Cup(サウジアラビア開催)とソニーグループのパートナーシップが発表されたばかりですが、隣国であるアラブ首長国連邦(UAE)でも、壮大なeスポーツ事業が立ち上がっていることが分かりました。
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プロゲーマーもeスポーツ愛好家も唸らせる最先端のインフラ
eスポーツラウンジなど複数の事業を手掛けるTrue GamersはUAEの首都アブダビに世界初となるeスポーツアイランドの建造を計画しています。2億8000万ドル(約424億円)を超える投資を見込んでおり、10 年以内に収益化を目指しているとのことです。
このeスポーツプロジェクトの開発にあたり、Virtus.Pro、Team Spirit、BetBoomeといったチームをはじめ世界中の100以上の関連組織と協力して約半年間にわたり、徹底した調査が行われました。これにより、あらゆる要件を満たす世界最高水準のeスポーツ施設を建造する青写真が作られました。
eスポーツをテーマにした島は湾岸沿いに位置し、陸地から橋でつながるため、アクセスも便利。
施設にはアリーナ、トレーニング センター、ストリーミングスタジオなど、eスポーツ体験に関する最先端の施設が集積します。
このeスポーツ島が完成すると、トップレベルのeスポーツ大会を誘致するのはもちろんのこと、現地のeスポーツ人材の育成の拠点となり、中東の経済成長にも貢献することが期待されます。
特化した施設
島の施設は主に次の4つが挙げられます。
デジタルタワー:
デジタルイノベーションの中心となり、スタートアップや既存企業に事業スペースを提供。最先端のテクノロジーとアニメーションスタジオを備え、クリエイティブなプロジェクトを行なうことが可能です。
TGアリーナ:
eスポーツイベント施設で、国際大会やデジタル展示会などを開催。100台のPC、20台のカーシミュレーター、20台のPSコンソールを備えています。
GGブートキャンプ:
トーナメントに向けて準備を行なうプロゲーマー向けの専門トレーニング施設。プレイヤーやチームの技術向上には欠かせない、eスポーツの専門的なトレーニングを行なうことが可能です。
GGリゾート:
高性能コンピューターを完備し、スパやプールなどの施設も提供するeスポーツに特化した200室からなるリゾート施設。快適で高級感あふれ、大会に臨む一流選手が最終調整をしたり心身をくつろがせたりするのにうってつけです。
eスポーツファンも楽しい体験
プロゲーマーのスペックに合わせて設計された施設ですが、一般のファンも楽しめる仕掛けもあります。例えば、『PUBG』にインスピレーションを得たパラシュートジャンプです。
eスポーツアイランドは、ゲームの競技、コンテンツ制作、ファンの体験など、eスポーツのあらゆるニーズに応えるダイナミックなエコシステムになっています。
一部のトップアスリートだけではなく、幅広いeスポーツ愛好家のレジャー地として、世界中から旅行者のインバウンドも見込めます。
中東がeスポーツの世界的なハブに
2019 年に設立されたTrue GamersはUAEと東欧で124のeスポーツ施設を展開しており、2024年には4500万ドル(約68億円)の投資でサウジアラビアの150箇所にeスポーツクラブを開設する契約も締結しました。
中東は灼熱の太陽が降り注ぐ砂漠という苛烈な環境です。だからこそ、日々の生活に潤いを与えるエンターテインメントの拡充に注力しています。
また、eスポーツやゲームは成長産業であり、投資としても魅力的に映っていることでしょう。
原油といったエネルギー産業から生み出される潤沢な富がエンタメの成長を促進させています。
サウジアラビアに続きUAEでもeスポーツが盛り上がっており、今後、eスポーツのハブとして中東の重要性は、ますます高まっていくことでしょう。
このようなeスポーツ事業を日本にあてはめて考えてみると、島国ですから海岸や小さな島といった環境は豊富にあります。昨今、地方創生が盛んに叫ばれていますが、地域の振興として島全体をeスポーツ仕様にすることは可能でしょう。幸いにして日本はゲーム大国ですから、ノウハウは集積されています。
eスポーツは若者に人気がありますので、ゲーム関連の産業やインフラをつくることで地方からの若者の流出が是正されるだけでなく、内外からの訪問客が増えて地元が経済が潤います。
地域興しで活気づけば「少子高齢化により限界集落をあきらめて移住する」といった撤退戦略ではなく、より明るい未来について語れるようになるのではないでしょうか。
(C)©Xain Sheikh
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