平日は時間がないから土日に集中して勉強しようと考えている人もいるのではないでしょうか? しかし、脳内科医の加藤俊徳氏は「2時間の勉強よりも10分間の勉強を12日間続けたほうが脳科学的にはかなり効率のいい勉強法」と言います。著書『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)より、 加藤氏が解説します。
2時間勉強するよりも、10分の勉強を12日間続けよう
脳の本来の性質は怠け者なので、視覚系と聴覚系の引き寄せる磁石の力も、うっかりするとすぐに弱まってしまいます。
何か1つのことを勉強するときは、常にそのことが頭の片隅にある状態が理想的。
親密度が高い状態を維持しておかないと、視覚系&聴覚系の怠け癖によって、情報を感知する力が著しくダウンしてしまいます。
言い換えると、連続性のあることに対して、脳はとてもよく働きます。
平日は時間がないからと、週末にまとめて2時間勉強をするという方もいるでしょう。
それ自体を否定はしませんが、1週間のうちその2時間しか勉強に取り組まないのであれば、その勉強法は本当にもったいない、というのが本音です。
翌日か翌々日あたりまでは親密度がそれなりに高い状態が続き、勉強した内容がチラリと頭をかすめることもあるでしょう。
しかし、3日も経てば日常に忙殺されて勉強の記憶が薄れていくのが自然の摂理で、おのずと、視覚系&聴覚系の情報感知能力も弱まり、エビングハウスの忘却曲線のように2時間かけて覚えたものも長期記憶に入れてもらえず、ほとんど忘れてしまうというカラクリです。
こうなると、次の週末には先週末に学んだことの記憶を掘り起こすところから始めなくてはならないですし、平日に知識を蓄えたり新しいひらめきを得たりする機会もないままで、なかなか勉強の効率が上がりません。
そうならないための対策として、いくつかの方法が考えられます。
もっともおすすめしたいのは、まとめて勉強するのではなく、1日10分でいいから毎日コツコツ型の勉強法に変えていくことです。
2時間(120分間)の勉強よりも10分間の勉強を12日間続けたほうが脳科学的にはかなり効率のいい勉強法なのです。
毎日、コツコツと勉強することの目的は、学びたいことを常に頭の片隅に置いた状態にして親密な関係を築いていくことにあります。
好きな人や好きな物、推しているアーティストがいたりすると、仕事中や移動中になんの脈絡もなくそのことを考えているときがありますよね。
勉強ともそのくらいの距離感を作りたいのです。
つまり、勉強と脳の間に連続性を作りたいのです。
脳の連続性を維持する最適な方法
どれほど激務の人であっても、1日10分くらいの時間なら捻出できるはずです。それが、自分にとってプラスになると判断して取り組んでいる勉強ならば、なおのこと。
1日わずか10分とはいえ、脳の連続性を維持する上ではこれほど適した方法はありません。
毎日、海馬に情報を送り続けるわけですから、海馬はこの情報は重要だと判断しますし、そうなれば、学んだことが記憶に残りやすくなります。
その上、視覚系&聴覚系の情報収集力も上がり、勉強している以外の時間にふと目にした情報を取り込んだり、そのことについて考える時間も増えたりします。
誰もが経験したことがあると思いますが、全く違う作業をしているときに「あ、そういえば、あれってこういうことかな」と、勉強によって仕入れた点と点の知識が線でつながる瞬間があると思います。
この現象が起きるのも、脳の連続性があればこそ。
脳科学的に、自分が無意識の状態でも脳は連続性のあるものにきちんと反応し、それを攻略するように各脳番地が働いてくれているのです。
1日10分のコツコツ型勉強法は、脳が勝手に働くようなプログラムを組むことにつながって、効率よく学びを深めていけます。
【図表】熱心なアプローチは報われる 出所:『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)より抜粋
加藤 俊徳
加藤プラチナクリニック院長/株式会社脳の学校代表
脳内科医/医学博士