株の定説「月曜日は株価が下がりやすい」「月初は高くなり月末は安くなる」に変化あり?【資産1億円超えの兼業投資家が検証】

(※写真はイメージです/PIXTA)

「月曜日は上昇率がマイナスになりやすい」「月初は高くなり月末は安くなる」など、マーケットにはさまざまな定説があります。しかし、本当にこの定説は今の実態と合っているのでしょうか?そこで、本記事では『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)から、著者の〈なのなの氏〉が、これらの定説を数字の面から紐解いていきます。

月曜日は上昇率がマイナスになりやすい?

曜日効果とは、ある曜日の上昇率が他の曜日よりも高かったり低かったりする現象のことを言います。通説として、月曜日の上昇率はマイナスになりやすいとも言われています。

【図表1】は、2001年1月~2023年6月の曜日ごとの日経平均上昇率の平均を表したグラフです(期間を分けた場合であっても同じ傾向が見られるか確認するため、さらに期間をアベノミクス前(2001年1月~2012年12月)とアベノミクス後(2013年1月~2023年6月)に区切っています)。

【図表1】曜日ごとの日経平均上昇率の平均

通年(2001年1月~2023年6月)で一番上昇率平均の小さい曜日は月曜日(0%)であり、先ほどの「月曜日の上昇率はマイナスになりやすい」との通説と一致しました。

月曜日の上昇率平均が低い理由としては、株価にとって悪材料となる情報は週末に発表されることが多く、週明けはその情報を受けて売りが出やすくなるため、などが考えられます。

また、通年で一番上昇率平均の大きい曜日は木曜日(0.05%)でした。ただし、月曜日、火曜日、木曜日、金曜日はアベノミクス前とアベノミクス後で上昇率平均の符号(プラスとマイナス)が逆になっているなど、データを取得する期間によって曜日効果には差が生じていることがわかります。

過去23年程度のデータからは、月曜日に下がりやすく、木曜日は上がりやすい傾向が見られるものの、データ取得期間によってその傾向は変わり、常に当てはまるものではない、と結論付けてよいかと思われます。

「月初は高い」「月末は安い」には理由があった

株のアノマリーの一つとして、月初第一営業日は高くなり、月末最終営業日は安くなる、というものがあります。ここでは、このアノマリーが実際に当てはまるものであるか、検証をしてみました。

【図表2】は、アベノミクス前(2001年1月~2012年12月)とアベノミクス後(2013年1月~2023年6月)の月初第一営業日と月末最終営業日における日経平均株価の上昇率平均を示したグラフです。

【図表2】月初第一・月末最終営業日の日経平均上昇率平均

【図表2】から、アベノミクス前もアベノミクス後も、アノマリーとして言われている通り、月初第一営業日株高・月末最終営業日株安の傾向が見られることがわかります。月初第一営業日に株価が高くなる理由としては、積み立て投資を行う個人や従業員持ち株会が月初第一営業日に買い付けにまわることが多いため、などが考えられます。

また、月末最終営業日に株価が安くなる理由としては、特に株価上昇局面において、保有資産に占める株式のウェイトが基準以上に高まらないよう月末最終営業日に株の残高を減らす投資家がいるため、などが考えられます。

もちろん、毎月必ず当てはまるアノマリーというわけではありませんが、月初第一営業日株高・月末最終営業日は株安の傾向があるということは、覚えておいて損はないかもしれません。

それでは「月の中旬」はどうか

先ほどは、月初第一営業日・月末最終営業日の株価の傾向を見ましたが、月の上旬・中旬・下旬でその動きに違いがあるかについても検証してみました。

【図表3】は、期間をアベノミクス前後にも区切った、2001年1月~2023年6月の月の上旬(1~10日)、中旬(11~20日)、下旬(21~31日)における日経平均株価の上昇率平均を表したグラフです。

【図表3】月の上旬・中旬・下旬の日経平均上昇率平均

通年(2001年1月~2023年6月)のグラフからは、月上旬の上昇率平均はほぼゼロであるものの、中旬、下旬になるにつれ、だんだんと上昇率平均は上がっていく傾向が見られます(株高となることが多い月初第一営業日や株安となることが多い月末最終営業日を除くと、その傾向はさらに大きくなります)。

ただし、アベノミクス前後に区切って見てみると、アベノミクス後は月の下旬より上旬・中旬の方が日経平均の上昇率は大きくなっています。

月上旬の上昇率に変化が見られる理由として、先ほど触れたことと少し関係しますが、月の上旬に株式を買い付ける積み立て投資が一般投資家層に広がってきていることも一つ考えられます(もしその理由が正しい場合、今後も月の下旬より上旬の方が株のパフォーマンスは高くなる可能性が高いでしょう)。

先ほどの月初・月末の結果とあわせて、2001年1月~2023年6月の期間において株価は、

①月初第一営業日は上昇する

②月の上旬はあまり上がらない

③中旬・下旬になるにつれ、だんだん上がっていく

④月末最終営業日は下落する

となる傾向が見られるものの、最近ではその傾向に変化が出てきている、と結論付けてよいかと思われます。

なのなの

サラリーマン兼業投資家

※本記事は『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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