ウクライナ軍、ロシア揚陸艦2隻を攻撃と説明 クリミア沖

ウクライナは24日、ロシアに併合されたクリミアの沖合で、ロシア黒海艦隊の揚陸艦2隻と通信センターなどのインフラを攻撃したと発表した。一方、ロシアも同日、ウクライナの首都キーウと西部リヴィウ州をミサイルとドローン(無人機)で攻撃した。

ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍の揚陸艦「ヤマル」と「アゾフ」を破壊したとした。

クリミア半島の港湾都市セヴァストポリのミハイル・ラズヴォジャエフ知事(ロシアが任命)は、ウクライナが発射したミサイル10発が撃ち落とされたと発表。「大規模な」攻撃により住宅や交通インフラに被害が出たとした。

また住民らに対し、情報や画像を公開しないよう求めた。

BBCは、ロシアの揚陸艦を損傷させたというウクライナの主張が正しいかどうか、確認できていない。揚陸艦は港湾施設のない海岸で兵士や兵器を陸上に運ぶのに使われる。

イギリスのグラント・シャップス国防相は、「ウクライナにとって歴史的瞬間」だと、ロシア艦船への攻撃をたたえた。

「わかりやすく言えば、プーチン(ロシア大統領)はもはや黒海で安全に軍事行動を取れなくなった。ロシア艦隊は1783年以来、黒海で活動してきたにもかかわらずだ」

シャップス氏はまた、ウクライナがこの戦争で負けることを世界が「受け入れる余地はない」と主張。イギリスのウクライナ支援は「弱まることはない」と述べた。

ロシアもキーウなど攻撃

キーウでは24日午前5時ごろ、ロシアによる攻撃が始まり、住民らが地下鉄駅へと避難した。

ウクライナ当局は、ロシアが発射したミサイル18発とドローン25機を撃墜したと説明。被害は軽微だったとした。

一方、リヴィウ州でもミサイル約20発とドローン7機による攻撃があり、「重要インフラ」が狙われた。被害は報告されていない。

巡航ミサイルのうち1発は、隣国で北大西洋条約機構(NATO)に加盟するポーランドの領空に侵入した。ポーランド軍が発表した。

同軍は、「その物体はポーランドの町オセルドフ近くの上空に入り、39秒間とどまった。飛行中、軍のレーダーシステムが監視していた」と説明。

ヴワディスワフ・コシニャク=カミシュ国防相は、「もしこの物体がポーランド内の標的に向かっていると示されたなら、もちろん撃墜され、より適切な措置をとっていた」と述べた。

ウクライナとロシアは双方とも、このところ空爆を増やしている。

ロシアは22日、ウクライナにミサイル数十発を発射。ダムを直撃し、ウクライナでは約100万人が電気を利用できなくなった。

一方、ウクライナはクリミアへの攻撃を増やしており、ロシア海軍で最強とされる黒海艦隊を繰り返し攻撃している。ウクライナ軍は先月、ロシアの揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」をクリミア沖で撃沈したと発表した。

黒海艦隊はロシアのウクライナ攻撃の基盤となっていると同時に、この地域におけるロシアの何世紀にもわたる軍事的プレゼンスのシンボルにもなっている。

ウクライナは、クリミアとロシア本土を結ぶケルチ橋も何度か攻撃の標的にしている。ロシア軍にとって重要な補給ルートになっているためだ。

ウクライナは、クリミアを含め、ロシアに占領されたすべての領土を奪還する計画だと繰り返し表明している。

(英語記事 Ukraine war: Two Russian landing ships hit off Crimea, officials say

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