中国の革新的技術、塩類・アルカリ性土壌での作物栽培を可能に

中国の革新的技術、塩類・アルカリ性土壌での作物栽培を可能に

海南省楽東リー族自治県省黄流鎮にある耐塩性高品質イネ栽培拠点での収穫作業。(2023年5月18日撮影、楽東=新華社配信/王仕明)

 【新華社三亜3月25日】2024年中国種子(南繁シリコンバレー)大会が17~20日、海南省三亜市で開催された。中国科学院遺伝・発育生物学研究所の鄭琪(てい・き)副研究員は大会で、「同じ小麦の種子を塩類・アルカリ性土壌と肥沃な土地それぞれに植えると、どちらの小麦がおいしいか」と問いかけ、「もし種子が栽培環境の制約を克服できるなら、塩類・アルカリ性土壌で育った小麦の方がおいしいだろう」と持論を展開した。

 生物学的特性により、塩類・アルカリ性土壌で栽培された作物はタンパク質を豊富に含み、独特の風味や豊かな香りを持つ食品の原料となる。しかし、塩類・アルカリ成分の含有量が高い土壌では、ほとんどの作物が育たない。国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、世界中で8億3300万ヘクタールの土地が塩類・アルカリ化の影響を受けており、農作物の栽培は不可能とされてきた。

 中国の研究者は数十年にわたり、耐塩性イネの品種改良や新品種の栽培を通じて、多くの作物を塩類・アルカリ性土壌環境に徐々に適応させてきた。異種交配や細胞・染色体工学、ゲノム編集などの育種技術の応用により、作物の耐病性や耐塩性を向上させた。

 23年6月、同研究所が栽培した耐塩性・耐乾性に優れた小麦の新品種「小偃155」の収穫量は1ムー(約667平方メートル)当たり411キロ以上を測定した。

 中国農業大学土地科学・技術学院の張超(ちょう・ちょう)教授によると、中国はこれまでに耐塩性の米や小麦、大豆、コーリャンなどに加え、耐塩性の菜種、綿花、牧草「羊草(Leymus chinensis)」なども開発してきた。

 良い種子を探す一方で、育種と栽培を組み合わせた塩類・アルカリ性土壌の総合的な管理も非常に重要となる。

 中国の塩類・アルカリ性土壌は、塩分濃度が高く、植生が少なく、広範囲に分布しており、国内の土地管理における最も難しい課題となっていた。中国農業科学院の土壌学専門家、李玉義(り・ぎょくぎ)博士の研究チームは、技術革新を通じて塩類・アルカリ土壌を耕作可能な土地に変えることに成功。この革新的技術は国際的にも非常に優れた科学手法として知られ、農作物の収量を3分の1以上増加させることができる。(記者/陳凱姿、羅江、程瀟)

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