卒業児童に顔をかたどった切り絵プレゼント 国東小の糸永校長「将来思い出して」【大分県】

卒業式後、切り絵と一緒に記念撮影をする糸永敏明校長(左)と児童=国東小
卒業する児童の切り絵と糸永敏明校長

 【国東】国東小(国東市国東町)の糸永敏明校長(62)が、卒業する児童にそれぞれの顔をかたどった切り絵を贈った。新型コロナウイルス禍の2019年度、「思い出づくりの機会がなくなった子どもたちのために」と始めた取り組み。本年度で校長を退くため、今回で最後となった。「もらった時の反応が楽しみで続けてきた。将来、切り絵を見て小学生時代を思い出してくれるとうれしい」

 切り絵のプレゼントは武蔵東小(市内武蔵町)の校長当時に始めた。年度末で統廃合が決まっており、「思い出に残る閉校式典を」と準備していたが、式典はコロナ禍で中止を余儀なくされた。

 代わりに児童に何かしてあげられないかと考えた時、絵が得意な父が校長時代に卒業児童に似顔絵を贈っていたのを思い出し、切り絵を思い付いた。作った経験はあまりなかったが、続けるうちに上達していったという。

 本年度、作ったのは40人分。朝、自宅で6年生の顔写真を眺めながら黒い紙を切り抜き、色紙に貼り付けた。子どもがリクエストした「楽しく生きる」「友情」「誠実」といった言葉も添えた。1点につき30分~1時間かかり、納得がいかないときは作り直すこともあった。約5カ月で全員分を仕上げた。

 22日にあった卒業式で、糸永校長は「日々努力すれば夢は必ずかなう。謙虚さと素直さを大事にして未来に羽ばたいてください」とはなむけの言葉。

 式後、児童一人一人に切り絵を手渡した。児童は「ありがとう!」「先生、私もっとかわいいよ」などと笑顔を浮かべ、記念写真も撮っていた。

 4月から糸永校長は教員として教壇に立つ。

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