棄てられた?シニアの柴犬は初対面の人が苦手 ボランティアさんとの散歩が大好きな甘えん坊 「お利口さんのあなたにずっとのお家が見つかりますように」

推定12歳という月齢で動物愛護センターに収容されたしゃちほこくん

2023年のある日、名古屋市動物愛護センターに白黒の毛並みが特徴の柴犬が収容されました。名前は「しゃちほこくん」。推定12歳のオスのシニア犬です。

ここまでどのように過ごしてきたかはわかりませんが、おそらくは飼い犬と見られます。しかし、動物愛護センターで収容の告知をしたものの一定期間を過ぎても、飼い主からの名乗りはありませんでした。

持病などの医療ケアを覚悟の上で保護

シニア犬になったり病気を患ったりすると、世話が面倒になり遺棄されてしまうケースがしばしばあります。考えたくはないですが、飼い主からの名乗りがないことから、しゃちほこくんも意図的に遺棄された可能性を否定することはできません。しゃちほこくんの存在を知った、愛知県を拠点に犬の保護・譲渡活動を行う団体、SORA小さな命を救う会(以下、SORA)は「殺処分にはさせまい」と引き出すことにしました。持病などの医療ケアも覚悟の上での保護でした。

スタッフはすぐに懇意の動物病院にしゃちほこくんを連れていきました。耳の変形が明らかで、初診時のしゃちほこくんは、耳を触れられることを極度に嫌がったため十分な診察ができませんでした。後に鎮静剤を使って詳細な検査をしたところ、慢性的な炎症による肥厚(ひこう)とのこと。しばらく様子を見ることになりました。

皮膚にはイボが見られ、白内障で目は白く濁っていましたが、幸い命にかかわるものではないため、適切な処置を重ねながら、これも経過観察をすることになりました。

初めての人との触れ合いは苦手

しゃちほこくんはSORAに提携する預かりボランティアさんの家でしばらく過ごすことになりました。

マイペースな性格ですが、柴犬らしく我慢強さと誠実さを兼ね備えたしゃちほこくん。好奇心旺盛でお部屋の中をクンクンと探検する姿に預かりボランティアさんは目を細めました。ただ不馴れな人間との触れ合いは苦手なようで、体に触られることを嫌がりました。動物愛護センターに収容される前の状況をうかがい知ることはできませんが、何かトラウマがあるのかもしれません。

やがて心を開き預かりボラさんとの散歩が大好きに

やがてしゃちほこくんは心を開いてくれるようになりました

日を重ねるごとに、しゃちほこくんは預かりボランティアさんにだけは少しずつ心を開いてくれるようになりました。特に預かりボランティアさんとの散歩を気に入ってくれた様子です。上手に歩き、グングン前へと進みます。推定12歳とは思えぬほどの若々しさで、しゃちほこくんの体の強さを物語っているようにも映ります。

元気いっぱいでグングン前へと進む散歩中のしゃちほこくん

突然の物音や見たことがないものが近づいてくると、パニックを起こすことがありますが、それ以外は極めてお利口さんでかわいいしゃちほこくん。SORAでは「人や物音を怖がる様子はあるけれど、この性格の良さなら、きっと新しい里親さんとのマッチングも果たせる」と信じ、里親募集をスタートさせました。

最期までしっかりお世話してくれる人に譲渡したい

初めての人と突然の物音への過度な反応を除けば、申し分のないしゃちほこくんですが、推定12歳であるため、今後病気などを発症する可能性もあります。こういった点も十分理解し「最期までしっかりとお世話してくれ、きちんと添い遂げられる人に譲渡したい」とスタッフは言います。

心を許してくれさえすれば笑顔たっぷりで、ワンコらしい行動をとるかわいいしゃちほこくん。近い将来、その笑顔にピッタリの、明るい里親さんに繋がることを願うばかりです。

__一般社団法人SORA小さな命を救う会
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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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