ガードレールは白←山口県は“黄色”です 特殊なカラーリングの理由は「県の特産品」にあった

ガードレールといえば白。いいえ、山口県は違いました

道路上に設置され、歩行者の安全を守り自転車・自動車の転落を防ぐなどする「ガードレール」。至る所で見かけますが、その色といえば白のイメージが強いですよね。ところが、山口県のガードレールは“黄色”なのです。一体なぜなのでしょうか。山口県の「観光プロモーション推進室」(山口市滝町)に話を聞いてみました。

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【写真】山口県のガードレールの色の由来になった特産品

推進室によると、黄色のガードレールは県内全域で使用されているそうです。基本的には県が管理する国道の一部や県道などに取り付けられているものの、「なかには市・町が管理している道路に設置されていたり、県管理道路から市道に移管した区間にありながらそのまま使用されている場合もあります」とのこと。

国土交通省のガイドラインによると、ガードレールの設置にあたっては「風景の一部として、違和感なく存在できるような形状・色彩」「近接する道路施設との景観的調和」という規定を守る必要があるのだとか。一方、色については必ずしも白である必要はなく、2017年(平成29)にガイドラインが改定された際にダークグレー・ダークブラウン・グレーベージュ・オフグレーの4色が基本カラーとして設定されました。とはいえ、いずれも落ち着いたカラーばかり。山口県では、どういったきっかけで黄色が採用されたのでしょうか。

「1963年(昭和38)に山口県で『国民体育大会』が開催された際、景観整備の一環として整備されました。山口県の特産品は『夏みかん』。鮮やかな実の色が山の緑に映え、視認性がよいことから採用されました」(観光プロモーション推進室)

なぜ「山口県=夏みかん」なのかは、江戸時代までさかのぼります。現在の山口県長門市で発生した夏みかんを、明治時代の士族たちが栽培したことをきっかけに広まったとされています。また長門市の青海島では、江戸中期の享保7年ごろに流れ着いたとされる「大日比ナツミカン」の原樹が植えられており、日本最古の夏みかんとして知られています。

「山口県と夏みかんの結びつきは強く、まず県花は『夏みかんの花』です。さらに萩市では毎年5月になると『萩・夏みかんまつり』という、夏みかんの収穫体験や夏みかん製品の販売をはじめとする、夏みかんづくしのイベントが開催されます」(観光プロモーション推進室)

ほかにも夏みかんを使ったゼリーやジュース、さらには夏みかんの形を活かした「丸漬け」という菓子などが県内では親しまれているそうですよ。

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県の特産品とガードレールという、意外なものを組み合わせた山口県。調べてみると他府県でもおもしろいアイテムが発見できるかもしれません。

(取材・文=つちだ四郎)

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