赤ワイングラス2杯=おにぎり1個分!飲み会1回では…お酒好きがハマる「エンプティカロリー」の落とし穴【医師が解説】 

(※写真はイメージです/PIXTA)

「エンプティカロリー」という言葉をご存じでしょうか。これは「高カロリーにもかかわらず栄養が空っぽ(エンプティ)」という意味ですが、間違えて捉えている人が多いと、『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)著者で医師の尾形哲氏はいいます。見て見ぬふりをしてしまいがちなお酒のカロリーや肥満・メタボとの関係性について、詳しくみていきましょう。

お酒は「4回目の食事」…「エンプティカロリー」の“本当の意味”

出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋
漫画:松本麻希 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋
漫画:松本麻希

エンプティカロリー=“栄養が空っぽ”

お酒はエンプティカロリーという意味をカロリーゼロと誤解している人が多いようです。エンプティは〝空っぽ〞という意味で、高カロリーなのに、栄養は空っぽな食品を指します。まさにその通りで、お酒は高カロリーにもかかわらず、必要な栄養素は兼ね備えていません

お酒に含まれるアルコールはエネルギー源で、カロリーがあります。純アルコール量1gに対して、約7.1kcalのエネルギー量になります。

脂質1gは約9kcal、糖質とタンパク質は1gで約4kcalのエネルギーなので、同量の1gで比較するなら、脂質よりは少ないけれど、糖質とタンパク質よりも多くのエネルギー量を生む計算になります。

[図表1]お酒のカロリーの求め方 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

細かい話をすれば、お酒を飲むと体がカーッと熱くなるように、お酒のエネルギーは代謝によって熱になって分解されやすいのも事実です。しかし、太らないとは決して言えません。

ワイン2杯のカロリーは170kcalほどあり、コンビニの普通サイズのおにぎりのカロリーと同等になります。同様に、日本酒なら1合、ビールなら500mlで200kcalに相当します。

「お酒は4回目の食事」と考えるべきで、脂肪を増やす原因です。飲酒後に追い打ちをかけるように締めのご飯や麺を食べれば、太るのは当然ですね。

[図表2]200kcal相当のお酒の量 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

衝撃…「飲み会1回」で半日分のカロリーを摂取

太るのも当然!「飲み会1回」で摂取する驚きのカロリー

[図表3]あなたの飲み方に近いのは? 編集部調べ。フードは実際に店舗で提供されるもの。サワー、カクテル類は「あすけんダイエット」の数値を参考に算出しています。
出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

飲み会1回で1日の推定エネルギー必要量の約5割に相当

1日の推定エネルギー必要量は個人差がありますが、身体活動レベルが標準的な40代男性で1日の推定エネルギー必要量は2,700kcal、40代女性で2,050kcalです。

[図表3]は一般的な飲み会1回での飲食量のカロリーを示したものですが、1日の推定エネルギー必要量の約5割に相当。飲み会での飲食はカロリー過多になりやすいと心にとめておきましょう。

標準的なアルコール量の半量でも…肥満・メタボのリスクは上昇

[図表4]飲酒と肥満・メタボリスク ※缶ビールは350ml缶。
出典:欧州・国際肥満会議(ECOICO 2020)より作成

酒量が増えれば、肥満やメタボリスクも上がる

韓国の国立ソウル医療センターが、約2700万人の成人を対象に行った大規模な調査の結果です。

世界的に標準的なアルコール摂取量は、1日で純アルコール量14gとされていて、標準的な摂取量の半分の約7gの摂取で女性のメタボリスクは低下したものの、男性の肥満やメタボのリスクは上昇。また、飲酒量が増えるとそのリスクはさらに高まります。

尾形 哲
医師
一般社団法人日本NASH研究所 代表理事

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