救えなかった命への償い 保護団体が抱える自責の念 殺処分ゼロに向けた歩みを止めてはいけない

保護団体スタッフが抱える自責の念と、それでも前進するために決めていることとは?

9月20日から9月26日は環境省によって「動物愛護週間」と定められています。国、地方自治体、関係団体が協力し、動物愛護と管理に関する普及啓発のため、さまざまな行事が実施されます。

2023年の動物愛護週間期間中、愛知県でも地元動物愛護センターにて殺処分となった犬や猫たちの慰霊祭が執り行われました。愛知県獣医師会関係者、愛知県の生活衛生課などの職員、そして行政認定団体の代表などがこの慰霊祭に参加。地元を拠点に、これまでに数多くの犬の命を救ってきた一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)のスタッフも参加しました。

保護団体スタッフの自責の念

愛知県動物愛護センターにある「動物慰霊碑」

SORAのスタッフはこの慰霊祭に参加することに対し、複雑な想いを胸に秘めていました。それは殺処分のことでした。「解決ができていない自分を見つめ直せば、『殺処分への加担』を自分自身も背負っているということではないか」と自問自答していたからです。「自分たち人間が、人間の都合で犬や猫を殺しておきながら、慰霊祭でお参りする」という矛盾を強く抱き、自責の念にかられるとも言います。

このように思ってしまうのは、動物愛護センターに収容された犬の全てを保護できるわけではなく、そこで残された犬の収容期限が過ぎ、殺処分されている現実を見ているからでもあります。

保護活動を行う上で設けている「3つのルール」

一方、殺処分問題について理想ばかりでは前に進みません。その上でSORAのスタッフは、保護活動を行う上で「3つのルール」を設けているとも言います。

__① 確実なレスキューができること
② そのときできるベストな医療ができること
③ 安全で確実な譲渡を目指せること__

こうも語りました。

「社会がもっと前進するために、少しでも人々の関心を増やし、法改正や条例の改正を議員さんたちにもお力を貸していただき、要望や請願をしながら一歩一歩推し進めて行くしかありません。『虹の橋を渡った』犬や猫たちに誓いの決意を約束するため、私は慰霊祭に参列しました」

動物に優しい国づくりを目指す小さな戦士に

2023年の慰霊祭に参加された人たち

慰霊祭に参加している動物にかかわるあらゆる人たちもまた、「それぞれに様々な思いを胸に抱いている」とも言います。動物愛護センターの職員はもちろん、他団体も含めて皆で議論を交わすことができ、たとえそれぞれの意見が違えども、「殺処分をなくしたい」という思いは皆同じ。業務や活動改善のためのディスカッションも有意義に行われたとも言います。

最後に改めてスタッフからこんな思いも聞かせてくれました。

「一緒にお話し合いをした保護団体さんは、動物愛護において最も早く先進的になった名古屋市、続いて豊田市と岡崎市を拠点とする団体さんです。次は愛知県全体のシステムをどんどん変えるため、皆さんと共にがんばって行きたいと思います。良いカタチでのルール作りができ始めているところもあり、愛知県の職員さんたちとも協力し合い、他県に遅れをとっているようにも思える愛知県の動物愛護を、一歩ずつ改善できるよう活動を続けていきたいと思います。当会は愛知県内だけでなく、岐阜県や他県でも登録し、動物愛護センターからの引き出し保護を行っています。さまざまな人たちと沢山の情報交換、意見交換を行いながら『動物に優しい国づくり』を目指すための、小さな戦士になっていきたいと思っています」

__一般社団法人SORA小さな命を救う会
__[https://sora\-chiisana\.org/](https://sora-chiisana.org/)

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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