紅型で牛革を染める技法は困難の連続 共同で開発した名刺入れ 琉球びんがた事業協同組合と京都レザー

 琉球びんがた事業協同組合(宮城守男理事長)は、西陣織や友禅など日本の伝統工芸の技術で国産牛の革製品作りに取り組んでいる京都レザー(京都市、田尻敏寛社長)と、紅型で染めた革を使った名刺入れを共同開発した。バッグなどの商品開発を進め、今後は県産牛革の活用を目指す。

紅型で染めた牛革を使った名刺入れ。琉球びんがた事業協同組合と京都レザーが共同開発した

 名刺入れは、2月27日から3月4日にデパートリウボウであった展示即売会「ホップステップびんがた展」で発表し、注文を受けた。色鮮やかな紅型柄をはじめ、内側の色や縫い上げる糸などを選ぶ特製商品が好評で、予想以上の反応があったという。

 紅型の色彩感に魅了された田尻社長が昨年5月、宮城理事長に商品開発を呼びかけ、県内の7工房が参加し始まった。

 革に紅型の伝統的な技法で染めるのは初の試み。部位によって、革への着色の具合が異なる。大豆をすりつぶした呉汁を混ぜた顔料で染める手法では色が定着せず、顔料を定着させるために蒸気を当てる工程では革に凹凸が生じるなど開発は困難を極めた。

 宮城理事長ら7工房の職人は月に1度、田尻社長を交えた勉強会で、顔料を定着させる素材や蒸す時間を変えるなどの試行錯誤を続けた。昨年11月ごろに染め上げることに成功し、商品開発が実現した。

紅型の名刺入れ。牛革を染める技法は困難を極めた

 国産牛の廃棄されていた革を兵庫県姫路市にある会社がなめして使用している。注文を受け、京都レザーで製作する。

 京都レザーは2015年ごろから、友禅や西陣織など日本で育まれた伝統文化である「用の美」を世界に通用する天然皮革へと生まれ変わらせ、新しい皮革素材ブランドを諸工芸と共に創造するプロジェクトを起こした。海外の有名メーカーとのコラボ商品も多い。田尻社長は「紅型の独特な色彩や型は魅力的」と評価する。

 宮城理事長は「新たな商品を開発し、紅型の世界を広げていきたい」と話した。

 名刺入れの価格は4万2900円(税込み)。問い合わせは琉球びんがた事業協同組合、電話098(894)3363。

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