スペイン検察、元サッカー連盟会長に禁錮2年6カ月を求刑 女子選手へのキスめぐり

昨年8月にサッカーの女子ワールドカップ(W杯)で優勝したスペイン代表チームの選手の唇にキスして批判を浴び、スペインサッカー連盟(RFEF)の会長を辞任したルイス・ルビアレス氏に対し、同国の検察は禁錮2年6カ月を求刑した。

ルビアレス氏は昨年のW杯決勝後のトロフィー授与式で、スペイン代表のジェニファー・エルモソ・フエンテス選手の唇にキスした。その後、性的暴行及び強要の罪で起訴された。

エルモソ選手やチームの他の選手は、このキスは同意の下ではなく、品位を落とすものだったと述べている。

ルビアレス氏は昨年9月に会長職を辞任に追い込まれたものの、疑惑を否定している。

損害賠償や接近禁止命令も要求

ロイター通信が入手した裁判資料によると、マルタ・ドゥランテス検事はルビアレス氏を、性的暴行罪1件と、キスの後の行動についての強要罪1件で起訴。有罪となれば、それぞれ禁錮1年と禁錮1年6カ月が適用される。

ドゥランテス検事はまた、W杯優勝チームを率いたホルヘ・ヴィルダ前監督と現在スポーツディレクターを務めるアルベルト・ルケ氏、RFEFのマーケティングトップのルーベン・リヴェラ氏についても、エルモソ選手にキスは同意の下だったとの発言を強要したとして、起訴した。

起訴状によると、3人はエルモソ選手の友人や家族などを通じて、「絶え間なく繰り返される圧力行為」によって、同選手に嫌がらせをしたという。

法廷に出廷した3人は、いずれも不法行為を否定した。有罪判決を受ければ、それぞれ最高1年6カ月の禁錮刑が科される可能性がある。

ドゥランテス検事はさらに、4人に合計10万ユーロ(約1600万円)の損害賠償をエルモソ選手に支払うことと、ルビアレス氏には少なくともその半額を支払うことを求めている。

ルビアレス氏に対しては、今後7年半の間、エルモソ選手から半径200メートル以内に近づくことや、エルモソ選手と連絡を取ることを禁止する接近禁止命令も要求している。

このスキャンダルは、W杯初優勝を祝っていたスペイン女子チームの歴史的瞬間に影を落とした。

ルビアレス氏はトロフィー授与の際、エルモソ選手の頭を両手で押さえ、唇にキスした。

また、スペインのレティシア王妃とその娘ソフィア王女の近くでW杯の決勝戦を観戦していた際、自身の股間をつかみながらスペインの勝利を喜ぶ姿が目撃され、批判を受けていた。

女子スポーツの最高レベルの舞台で行われたこの事件は、性差別に対する世界的な怒りの波を引き起こし、スペイン代表選手たちによる代表チームのボイコットへと発展した。

ルビアレス氏は当初、国際サッカー連盟(FIFA)から暫定的な資格停止処分を受けた。その後、スペインサッカー連盟のトップと欧州サッカー連盟(UEFA)の副会長の両方を辞任した。

ルビアレス氏はFIFAに不服を申し立てたものの、FIFAは今年1月、同氏に対する3年間のサッカー活動禁止処分を維持した。

女子チームをW杯優勝に導いた監督で、ルビアレス氏の盟友でもあるヴィルダ氏も、スキャンダルの影響を受けて昨年9月に解任されたが、10月にモロッコ女子チームの監督に任命された。

(英語記事 Luis Rubiales: Prosecutors seek 2.5-year jail term over World Cup kiss

© BBCグローバルニュースジャパン株式会社