舞(26歳)、奮発した旅行先で、まさかの彼氏レスになったが挽回したよ
【レスなひとびと】vol. 236
オーシャンフロントの客室。テラスに出た舞は、ミルキーブルーの海を眺めながら「わあ、気持ちいい」とワントーン高い声をあげる。彼氏の友哉と付き合って4年の記念日。
奮発して沖縄旅行にやってきた。
最近ちょっと友哉とのイチャイチャが足りてない。この旅行では存分にくっつく予定だった。
夜、サンセットを眺めながらグリル料理を楽しんだあと。いよいよイチャイチャタイム。なのに、いつまでも部屋のソファでスマホをいじる友哉。舞はしびれを切らして抱きつく。
「さみしいよ」
そう言って、友哉のシャツのボタンを外していく。すると。
「そういうのやめろよ」
いつになく語気の強い友哉に、ビクッとして離れる舞。何よりハグを拒否されたことがショックだった。
「ここ1年くらい、舞と一緒にいてもそういう気になれない」
「それって」
「今日は無理して旅行来たけど、俺たち、これ以上うまくいく気がしない」
別れ話? 沖縄で? 最近、うっすらそんな気はしていた。
だからこそ今回の旅行で挽回しようと思ってたのに、ここで言う?
結婚式のための貯金だって、ずいぶん前から2人でしてたのに。
結局、沖縄旅行を早々に切り上げることに。共同貯金をはんぶんこして友哉とは別れた。
舞は思う。わたしって魅力ないのかな。SNSフォロワーは男性多いんだけどな。
考えれば考えるほど自信がなくなり、将来への不安が募っていく。
ある日の会社帰り。駅ナカの書店で一冊の本が舞の目に留まった。手にとって少し読んでみると「フラれた女は海外留学へ行け!」という趣旨のエッセイ本だった。本に書かれたカナダでの生活に思いが飛んでゆく。
高校時代、ホームステイをする友達を見て羨ましかったことも思い出す。結婚の予定もなくなったわけだし、式のために貯めていたお金で海外行ってもいいかも。
カナダ留学に向けて舞は準備を始めた。まず、英語の勉強と試験。それから、学校の手続きやビザ申請。さらに、英会話ができるマッチングアプリを駆使して、コミュ力も磨く。
働きながらの留学準備は忙しい。だんだんと友哉のことを考える時間も減っていった。そして、いよいよ退職。カナダへと旅立った。
半年後。
舞は新しい彼、アランと同棲していた。
「I’m going(いってきます)」
アランは、舞が外出しようとするたびキスしてくれる。帰ってきたら、必ず抱きしめてくれる。
もう、絶対友哉じゃ満足できないな。
元彼と比較するのもなんだが、アランと付き合えたのは元彼が振ってくれたおかげだと思っている。
【三松さんからのコメント】
留学に行く理由は、語学研修とか、視野を広げるだけじゃない。恋人探しだっていう人も実は結構いるのです。
舞さん、友哉さんにフラれた後、他の男性で自信を回復しようとしなかったのがえらかった。フラレ女性は、次の彼氏を秒で探すぞのアグレッシブ系と「傷ついた私」におぼれるメンポヨ(メンタルポヨポヨのよわっちさん)系と分かれますね。
語学学習をして、勇気出して異国での生活を始める。ライフスタイルを大幅チェンジするというハードルが高いことに挑戦するって立派です。
集中してがんばったので自信が回復したのでは?
そんな舞さんだからこそ、アランのようなセクシー彼氏ができたのでしょう。
法律を破ったり、誰かに迷惑をかけなければ地球上のどこにいったっていい。だって人生一度キリですもん。
自信をなくしたとき、行き詰まったとき、もう手立てはないと思ってしまいがち。実はいくらでも選択肢はある。舞さんのようにグワっと視野を広げるだけで、世界が変わることもあるのです。
「彼氏レスになった時こそ、勝負に出るんだ。人生一発逆転のいいきっかけになる!」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。