自分の子どもに就いてほしい職業、男女ともに1位は安定感のある「公務員」に。給与事情は?

気になる「公務員の給与と退職金事情」をチェック

将来子どもに就いてほしい職業は、その時代のトレンドや景気によっても左右されます。

今どきの子どもを持つ親は、どのような職業を子どもに就いてほしいと感じているのでしょうか。

今回は、2024年3月12日に公表された調査結果等をもとに、親が思う子どもに就いてほしい職業を紹介。記事後半では、1位になった「公務員」の給与や退職金事情について解説します。

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子どもに就いてほしい職業ランキング!常連は「公務員」

2024年3月12日、ソニー生命保険株式会社は子どもの教育資金に関する調査2024を公表しました。

調査結果によると、自分の子どもに就いてほしい職業は男子・女子の親ともに1 位が「公務員」となっています。

自分の子どもに就いてほしい職業ランキング

男の子の親では、1位「公務員」、2位「会社員」、3位「医師」、4位「研究者」、5位「医療関係職(医師、看護師など除く)」という結果に。

女の子の親では、1位「公務員」、2位「看護師」、3位「医師」、4位「会社員」「薬剤師」となりました。

公務員を選んだ理由には「収入が安定しているから」「収入など安定しており、将来も安心できるから」という回答があります。

なお、日本トレンドリサーチと青山ラジュボークリニックによる昨年の調査「子供に将来なってほしい職業」においても、男女別で公務員が1位となりました。

男の子の親が公務員を選んだ理由として挙げられたのは、以下の通りです。

  • 安定しているから。ボーナスがいいから
  • 貢献できるし、安定しているから
  • 食いっぱぐれのないような人生を歩んでほしいから
  • 収入が安定していそうだから
  • 安定した職業だから
  • 安定感を重視した場合、公務員がいい
  • 業績に左右されずに、安定しているから
  • コロナウイルスの影響で倒産する企業が多いですので倒産しないのがいいですね

男の子のランキングを見ると、公務員に続いてなってほしい職業をみると「会社員」「医師」が続きます。

また、女の子のランキングでも、1位は公務員でした。

公務員を選んだ理由は、男の子と同じく安定を理由としています。

  • ずっと続けられる安定した職業だから
  • 安定していてストレスが少なそうだから
  • 安定した生活が送れると思うから
  • 保険も年金も老後が安定しているので
  • 老後も心配なく、安定していると思うから
  • 手堅い職業だと思うので

2位以下を見ると「会社員」「薬剤師」が続きました。

では、公務員の給与や退職金は、一般の会社員と違いはあるのでしょうか。

次章では公務員と会社員の給与事情について確認しましょう。

公務員の給与と退職金事情

公務員の給与と退職金について、会社員と比較しながらそれぞれ確認します。

公務員と会社員の給与

人事院が2023年8月に調査した「国家公務員給与の実態」を見ると、国家公務員の平均給与は月額41万2747円となりました。

国家公務員の平均給与

また、総務省「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の平均給与は月額で40万1372円でした。

平均給与でみると、約1万円の差があります。

では、会社員の賃金を見ていきましょう。

厚生労働省が2024年1月24日に発表した「令和5年賃金構造基本統計調査速報」によると、一般労働者の賃金は31万8300円でした。

あくまでも全体平均だけで比べると、公務員の給与が高くなっています。ただし、実際には役職や職種等によっても異なるでしょう。

公務員と会社員の退職金事情

公務員と会社員の退職金についても比較しましょう。

厚生労働省は、2024年3月1日に「令和5年就労条件総合調査」を公開しました。

会社員で勤続年数35年以上の退職金を、学歴別でそれぞれ確認しましょう。

会社員の退職金平均

【企業規模:大学・大学院卒の退職金平均】

  • 1000人以上:2242万円
  • 300~999人:1742万円
  • 100~299人:1543万円
  • 30~99人:1785万円

一方、公務員の退職金を国家公務員と地方公務員でそれぞれ確認しましょう。

内閣官房内閣人事局が2023年12月に調査した「退職手当の支給状況」によると、国家公務員が定年退職した場合の退職金は、2112万2000円でした。

勤続年数別に見ると、以下の通りです。

  • 勤続年数25年~29年:1663万2000円
  • 勤続年数30年~34年:1991万7000円
  • 勤続年数35年~39年:2303万8000円
  • 勤続年数40年以上:2234万7000円

「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の場合は、2123万6000円となっています。

勤続年数によりますが、国家公務員の退職金が高い結果となりました。

公務員になるメリットとデメリット

公務員は安定している職業ですが、デメリットはあるのでしょうか。

公務員のメリットとデメリットについて確認しましょう。

公務員のメリット

公務員になるメリットは、景気の波に左右されない安定性と福利厚生が充実している点です。

福利厚生でみると、扶養手当に加えて育休も3年取得できる点が手厚いといえます。

また、安定した仕事なのでクレジットカードや住宅ローンの審査にも通りやすいです。

公務員になる注意点

一方、公務員で注意したいのは、成果を上げても給与が上がりにくい点です。

評価制度を導入しているところは多いものの、基本的には勤続年数によって給与が増える職種なので、20歳代や30歳代が成果を出しても、成果主義の会社員に比べると給与には反映されにくいといえます。

また、副業の制限も厳しいので、会社員ほど副業できる範囲は狭い点も注意が必要です。

今後の働き方改革によって、副業の範囲が広がるのか注目していきましょう。

安定感のある公務員

親が思う子どもに就いてほしい職業は、安定性のある公務員がトップでした。

実際に、会社員と比べると給与や退職金は高い傾向にあります。さらに景気に左右されないので、安定性の高い職業といえるでしょう。

とはいえ、子ども自身が就きたいと思う職業は、必ずしも親の意向と一致しません。

あくまでも選択肢の1つとして、提示するくらいに考えておきましょう。

参考資料

  • 日本トレンドリサーチ「子供に将来なってほしい職業」
  • 日本トレンドリサーチ
  • 青山ラジュボークリニック
  • 人事院「国家公務員給与の実態」
  • 総務省「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
  • 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
  • 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
  • ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2024」

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