政治家「今度のパーティーよろしく」…うっかり違法行為に加担しないために知っておくべき「150万円の壁」【登録政治資金監査人の弁護士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

政治資金パーティーにおける、議員へのパーティー券代のキックバックをめぐる事件が政界を大きく揺るがしています。政治団体や政治家個人への寄付は法規制を確認してから行わなければ、うっかり“裏金”に加担してしまう可能性があります。今回は政治団体や政治家個人へ寄付に関する、基本的な法規制についておさらいしましょう。 ※ 本連載は、早稲田リーガルコモンズ法律事務所が提供する、所属弁護士によるコラムを転載したものです。

政治献金と寄付にはそれぞれ異なる法規制がある

企業活動、事業活動を行うなかで、政治家とのお付き合いが出てくる場面があります。「今度パーティーがあるからよろしく頼みます」「ご支援をお願いしたい」など、議員や候補者、政治家秘書などからの要請が出た場合、法的に注意すべき点があります。

政治資金パーティー(政治資金規正法8条の2)と、それ以外の寄付(法律上は「寄附」)とは異なる規制がありますので、分けて分析をしてみます。

寄付に関する法規制

まず、会社などの団体から、政治家個人に対する寄付をすることはできません(同法21条1項)。政党・政党支部・政治資金団体(注:政治資金団体とは、政党が1つだけ指定できるもので2022年現在は全国でも3団体しかありません)に対する寄付はできますが、政治家個人に対する寄付は禁止されていますので注意が必要です。

一方で、個人の立場で寄付をする際には、政治家個人に対する寄付は認められていますし、政党・政党支部・政治資金団体に対する寄付も認められています。

また、会社などの団体が負担する党費や会費は寄付とみなされます(同法5条2項)。そのため、会社などの団体は、政党・政党支部・政治資金団体に対して党費や会費を負担することはできますが、それ以外の政治団体に党費や会費を負担することはできません。

これらの制限に違反した場合、寄付をした側、寄付を受けた側ともに、刑事罰の適用があり、1年以下の禁錮または50万円以下の罰金(同法26条)が課せられます。また、当該会社等の団体に対しても罰金刑を課す(同法28条の3)こととされています。

なお、会社や個人など、それぞれ寄付金額について年間の上限があるほか、国や地方公共団体から一定の補助金を受けている団体は寄付ができない(同法22条の3)、3事業年度以上継続して欠損を生じている会社はその欠損がうめられるまでの間寄付をすることができない(同法22条の4)などの制限がありますので、個別に確認をすることが必要です。

政治資金パーティーに関する法規制

以上と異なり、政治資金パーティーについては、対価(通常、パーティー券となります)は、1パーティーについて、150万円までであれば、個人、法人の種別を問わず支払いをすることができます。

なお、政治資金パーティーの対価は、1パーティーについて20万円を超える支払いがあった場合、政治団体等の政治資金収支報告書に氏名、住所及び職業(団体の場合は団体名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名)が公表され、各都道府県選挙管理委員会または総務省において、ホームページなどを通じて定期的に公表されることとなります(同法12条)。

弁護士

竹内彰志

https://legalcommons.jp/column/takeuchi_shiyoji_20221019

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