「TOEIC600点台」「研究室訪問ゼロ」でも、国際系の国立大学院は受かるのか 私文から“非常識な受験”をした筆者が答えます

X(旧Twitter)を見ると、文系国立大学院の受験に際して、さまざまな疑問を見かけます。また、院卒の筆者から見ると「これは違うかな」という意見も散見されます。そこで、非常識な受験方法で受かった文系国立大学院合格者があなたの疑問に答えます。

ちなみに、当時の筆者はあまり社交的ではなく、すべて自分で解決したい、という気持ちが強かったように思います。

研究室訪問はした方がいいのでしょうか? ※画像はイメージです(taka/stock.adobe.com)

研究室訪問はした方がいいの?

筆者は2011年3月に私立大学文学部を卒業し、同年4月に国立大学の国際系大学院に入学。2013年3月に同大学院を修了しました。

文系大学院では基本的に自分で研究をしますが、やはり指導教員との相性は大切です。正直なところ修士までなら、教員の専門とのマッチングよりも相性の良さが重要だと思います。いくら、教員が優秀でも、相性が合わないとつらいですから。

教員との相性はパンフレットやホームページを見てもわかりません。そのため、直に教員と会う、研究室訪問が重要なのです。研究室訪問では相性はもちろん、やりたい研究テーマに関する情報共有や大学院受験のヒントが得られることも。可能な限り、お世話になりたい教員にメールを送って、研究室訪問をしましょう。

ここまで、研究室訪問を推奨する文章を書きましたが…筆者はやりませんでした! その代わり、大学院が主催するオープンキャンパスには参加しました。しかし、そこで教員と直に話すことはありませんでした。

なぜ、研究室訪問をしなかったのか。やりたい研究テーマは決まっていましたが、正直なところ自信をもって他人に説明する自信がなかなか持てなかったからです。

そうこうしているうちに、国立大学院の受験日になり、口頭試問の際に「指導教員はどうされますか」という問いが投げかけられました。そこで、筆者は事前には考えていましたが、目の前に座っていた初見の先生を指名しました。その先生は驚いた表情を見せていましたが、ありがたいごとに合格でき、温かく迎え入れてもらえました。

今から考えると、常識外の方法だったように思います。やはり、口頭試問で驚かれないようにするためにも、研究室訪問はした方がいいです。 とは言いつつも、筆者の例からもわかる通り、研究室訪問をしなくても、合格はできます。

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研究計画書はどうやって書けばいいの?

どんな大学院でも、入試において口頭試問が実施されます。口頭試問では事前に提出された研究計画書に基づき、教員が研究に関する質問をします。そのため、研究計画書は受験はもちろん、今後の研究においても大切な書類です。

研究計画書に関して、筆者は2000字ほど書きました。問題は書き方です。筆者が研究計画書を執筆した2010年は現在のようにSNSが発展していなかったので、本当に情報が少なく困りました。最終的に大学院入学に関する本を購入し、それに基づき執筆しました。研究計画書は「型」があり、前半は自分がしたい研究テーマに関する先行研究のまとめ、後半は研究のやり方、そして研究の意義を書きました。

研究計画書は本当に大切な書類ですから、学部の指導教員による添削をおすすめします。

なぜなら、研究計画書では研究テーマの他に論理的な文章が執筆できるか、という筆力をチェックする意味合いもあると思います。そのため、第三者から見て、論理的でわかりやすい文章になっているか、客観的な評価やアドバイスを受けることは重要です。

「受けているようです」と書いたのは、筆者は学部の指導教員をはじめとする第三者による添削を受けず、そのまま研究計画書を提出したからです。その時の心境は「自分の研究テーマは自分がよく知っているから、まあ添削を受ける必要もないか」という浅はかなものでした。しかも手書きでした。もちろん、かなり丁寧に書きましたが。

大学院に入学後、ほとんどの院生は学部の指導教員による添削を受け、パソコンで執筆したとのこと。筆者に対して「よく添削を受けないで合格できたな」と言われました。筆者もそのように思います。おそらく、今読むと、論理関係などの筆力は劣っていたように感じるでしょう。

論理関係をきちんとするためにも、教授などの第三者による添削はできるだけ受けましょう。

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英語は得意でないといけないのか

英文学など英語を専攻する研究科は別にして、大学院受験にあたり、どれほどの英語力が必要になるか。この問いに答えるのはなかなか難しいです。なぜなら、研究科の性格にもよりますし、博士課程に進学するか否かでも答えは変わると思います。ここでは、「修士卒」を前提に話を進めます。

筆者は国際系の大学院に進学したわけですが、当時のTOEICは600点台でした。高校生の時の英語偏差値40台と比べると高いですが、周りの院生と比較すると低かったように思います。

それでも、何とか大学院でやっていけた理由は院では英語論文を読む力があれば、どうにかなります。しかも、自分に関心がある論文がメインなので、通常の文章よりも読みやすいと思います。

筆者が受験した際、試験科目に英語はありませんでした。が、大学院で英語を読む機会は増えると思い、自分で英語論文を読むなどして、コツコツと勉強しました。

よく、国際系の大学院への進学となると、「英語をはじめとする外国語のスーパーマン」というイメージを持たれるかもしれません。ですが、安心してください! 筆者のように高校生の時に英語偏差値40台であっても、コツコツ努力すれば何とかなります。

このように、大学院受験に関して「王道」「常識」はあります。おそらく、王道を守った方が合格率は高まるのでしょう。一方、筆者のように「王道逸脱組」でも、国立大の大学院は合格できますし、2年で修了できます。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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