川栄李奈「雨穴さんは、徹底して雨穴さんでした(笑)」大好きな作家が原作の映画に出演オファー「すごく嬉しかったです」

川栄李奈 撮影/冨田望

2010年、AKB48研究生として公演に立ったことをきっかけに、芸能界でのキャリアを築いてきた川栄李奈。2015年にAKB48を卒業して以降は、俳優として活躍。上白石萌音、深津絵里らとトリプル主演した2021年の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』、同年の大河ドラマ『青天を衝け』をはじめ、その実力を認められてきた。現在も動画投稿サイトなどで話題を呼んだ、ウェブライターでユーチューバーとしても活動する雨穴による書籍の映画化『変な家』で、その巧さを十分に見せている。そんな川栄さんのTHE CHANGEとはーー。【第2回/全4回】

爽やかな上下白の衣装。可愛らしくキュートな空気をまといながら取材部屋へと入ってきた川栄さんが、「ホラーはすごく好きですし、自分自身が殺人鬼とか、そういった役もやってみたいです」とにこやかに笑って見せた。

かねてホラーが大好きなことを公言している川栄さん。しかも人間と人間を繋ぎ合わせるという、日本でもカルト的な人気を誇り続けるホラー映画『ムカデ人間』が好きというからなかなかである。そんな川栄さんが現在出演中なのが、ウェブライターで覆面作家・雨穴さんのYouTube動画と連動したミステリー小説を映画化した『変な家』。

「お話をいただいたときは、すごく嬉しかったです。たまたまTikTokとかでも盛り上がっていて、YouTubeの動画がバズっているのを知りました。それで動画を見たんですが、そのすぐあとにお話をいただいたんです。この作品はホラーではないですが、人間の怖さというか、これは何なんだろうという謎な部分がすごく多い作品で、そういった作品に携わることが、これまでにそんなになかったですし、とても嬉しかったです」

原作者の雨穴さんも現場に

――ホラー好きとしては、特に後半、動画クリエイターの雨宮(間宮祥太朗)と設計士・栗原(佐藤二朗)と共に向かった“本家”での撮影など、面白い体験だったのではありませんか?

「本当の洞くつでずっと撮影していたんです。そこでアクションシーンを撮ったりして」

――本当の洞くつだったんですか!?

「そうなんです。森の中にある実際の鍾乳洞でした。足場も悪いですし、狭いですし。かなり環境の悪いなかだったので、撮り終わったときは、“終わった~、頑張ったぁ”という感じでした(笑)」

本編後半、“本家”当主に石坂浩二、その妻に根岸季衣、親戚に高嶋政伸と、かなりクセの強い俳優陣が参戦。そこで映画ならではの怒涛の展開が繰り広げられていく。

――ミステリーやホラーの現場は、作品の空気とは違って逆に明るいと聞いたりもしますが、本作の現場はいかがでしたか?

「和気あいあいとしてました。石川淳一監督もすごく優しい方で。作品とは全然違う空気感でした。普通にみなさんオフのときはたわいもない会話をして、急にシリアスなお芝居を始めるといった感じでした」

――現場に作者の雨穴さんもいらしたと聞きました。

「はい。でも雨穴さんは雨穴さんとして徹底されてました」

―雨穴さんとして徹底(笑)。

「そうなんです。なのでご挨拶だけして動画を撮っておしまいでした。“ちゃんと雨穴さん”をされてました」

――出来上がった作品をご覧になった感想はいかがでしたか?

「すごく面白かったです。不思議な、ゾクッとする感じが新しい作品だなと思いました。最後までゾクゾク、ドキドキするような感じでした」

確かに柚希の出演シーンの最後も、さらにそのあとのラストも、展開は続く。

川栄李奈(かわえい・りな)
1995年、2月12日、神奈川県出身。2015年にAKB48を卒業してほどなく、舞台『AZUMI幕末編』、翌年『戦国編』で主演を務めて好評を得る。その後連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』(NTV)大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)などに出演。トーク番組『A-Studio』では10代目のアシスタントを務めた。ほか主な出演作に映画『亜人』『センセイ君主』『恋のしずく』『泣くな赤鬼』、ドラマ『夕凪の街 桜の国 2018』『青天を衝く』『となりのナースエイド』など。現在、映画『変な家』が公開中、舞台『千と千尋の神隠し』で千尋役を演じている。

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