食品値上げがまた加速…7月までに5911品目も!国産ウイスキーは最大2倍超に

国産ウイスキーの人気が高く値段が高騰しています。海外オークションでは「山崎55年」に8000万円超の値段がつくなど耳を疑うような話もあります。「白州」「響」などの人気も高まり、サントリーの「白州12年」「響17年」などは現在、原酒不足のために販売が休止されています。


国産ウイスキーが2倍超の値上げへ

このような状況の中、国産ウイスキーは4月1日出荷分から販売価格を最大2倍超に引き上げます。「山崎」と「白州」は4500円から7000円(+56%)に値上げとなります。高額商品では「響 30年」「山崎 25年」「白州 25年」の3商品がそれぞれ16万円から36万円となり、(+125%)大幅な値上げです。(全て1瓶700ml)

お酒を飲まれない方にとっても、このような大幅な値上げには驚かれると思いますが、特に私のようにウイスキー好きの者にはかなり気の滅入る状況です。私は以前からウイスキーをソーダ割りでいただく「ハイボール」が好きなのですが、この飲み方は2010年代から若い世代の方々にも浸透しました。NHKの連続テレビ小説『マッサン』の放送などもあり、国産ウイスキーへの関心がさらに高まり人気を得たようです。日本のウイスキーは世界的にも人気が高まっていて2022年の輸出額は560億円と前年比21.5%増となっていて、輸出金額の1位は中国、2位がアメリカです。

再び値上げが加速

帝国データバンクによると、食品の値上げは2022年に2万5768品目・平均値上げ率14%、2023年には3万2396品目・平均値上げ率15%となり、過去30年間において例を見ない規模の記録的な値上げラッシュとなりました。今年は過去2年と比較すると、幾分落ち着きを感じますが、4月は2806品目を超え、7月までに6433品目(予定含む)・値上げ率は19%となります。内訳は加工食品が3661品目、調味料1074品目、酒類・飲料834品目、菓子484品目、乳製品97品目、原材料238品目となっています。

トマト製品や唐辛子、ハム・ソーセージも

キッコーマンでは、デルモンテおよびキッコーマンブランドのトマト製品の値上げが目立ちます。ケチャップやトマトジュース、野菜ジュースなど計88品目の価格改定です。引き上げ率は5~23%です。主力商品の「デルモンテトマトケチャップ」(300グラム)は希望小売価格を292円から319円に27円引き上げとなります。

ハウス食品では唐辛子類を20.4~32.5%値上げ、味の素AGFではインスタントコーヒーを20~25%値上げ、日本ハムではハム・ソーセージほかを1.1~27.6%値上げ、にんべんではだし、たれ類など5~11%値上げの予定です。どれも一般家庭の食卓に並ぶ身近な食品ですので家計への影響が気になります。一方で、値上げをした企業は数多くありますが、業績など新年度相場でどのように数字に表れるのかもとても気になります。

値上げ要因は、原材料高のほか、円安(31.8%)や人件費(23.0%)となっていて、これらの項目は前年に比べ2倍近い状況となっています。「物流の2024年問題」(2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制などが適用)により労働時間が短縮され「モノが運べなくなる」懸念への対応から物流費が上昇し、夏以降も値上がり傾向の可能性があります。

賃上げは食品値上げに追いつかず

現時点では、賃金の上昇が物価の上昇に追いついていません。そんな中、今春上場企業を中心に賃上げが続々と表明されました。サントリーHD(2587)、キリンHD(2503)、イオン(8267)、伊藤忠商事(8001)、みずほFG(8411)などです。

大企業においては直接的な円安効果や内部留保にあたる利益剰余金などで賃上げをまかなえる仕組みが成り立ちますが、中小企業の賃上げは容易ではありません。日本の中小企業での雇用者は約7割にあたりますので、多くの人々の暮らしが苦しい状況に置かれています。消費者庁のHPでは「長らく凍結されていた賃金に上昇の機運が生じてきたのは大きな変化と言えます。 物価上昇のピンチを賃金上昇につなげるチャンスです!そして、賃金が上がり、経済が成長し、私たちの生活が豊かになる日本を目指します」と呼びかけています。今が耐え時なのかもしれませんが、一刻も早くその通りになるよう今後の状況を注視していきます。

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