BTS J-HOPE、ダンス=原点とストリートからの影響 ドキュメンタリーで共有されるあくなき探究心

BTSのJ-HOPEが、3月28日0時に新たなドキュメンタリーシリーズ『HOPE ON THE STREET』(オンライン動画サービスTVING、Prime Video)をスタートさせた。

'HOPE ON THE STREET' DOCU SERIES Interview Video
このドキュメンタリーシリーズは、J-HOPEがソロアーティストとしてリリースするスペシャルアルバム『HOPE ON THE STREET VOL.1』と共に制作され、日本の大阪、フランスのパリ、アメリカのニューヨーク、そして韓国のソウル、光州など各地に足を運び、それぞれの土地で活躍するストリートダンサーたちとダンス交流をする様子を収めたものだ。

本エピソードの公開日が近づくにつれて、BTSのYouTubeチャンネル『BANGTANTV』ではカウントダウン形式でトレーラーやインタビュー映像をアップ。そこに映し出されるJ-HOPEがキラキラと瞳を輝かせて踊り、語る様子に、思わず頬が緩んだARMY(BTSファン)も多かったのではないだろうか。

ダンスについて「僕の原点」「僕が活動する上で、そして僕の人生で一番大事に思っている」と表現しているJ-HOPE。言うまでもなく、彼はBTSのダンスリーダーとして、これまで華々しいパフォーマンスを披露してきた。だが、このドキュメンタリーシリーズで、これまでの集大成を見せようというつもりではないようだ。

「一番大事なのは学びだと思います」「変わろうと挑戦する気持ち」J-HOPEはこのドキュメンタリーシリーズを撮りながら、改めて学びを得ようと考えていた。ポッピング、ロッキング、ハウス、HIPHOP、ニューロンと、異なるジャンルのダンスをストリートで踊る姿は、ステージの上でのパフォーマンスとはまた違った雰囲気を醸し出す。

いつか一緒に踊りたいと願っていた人たちとの出会いがあり、かつてのダンス仲間との懐かしい再会があり……。セッションする様子は、言葉以上のコミュニケーションでつながっているようにも見えた。なかには、自分には決して真似することのできないリズムの取り方に愕然とすることもあったようで、悔しさをあらわにするJ-HOPEの貴重な表情も。

だが、そのなかなかうまくいかない場面に出会うことこそ、BTSとして大きな成功を収め、来る2025年の再始動を目標に新たな章を進もうというJ-HOPEにとってかけがえのないものになったのではないだろうか。「僕の一番好きな言葉は“JUST DANCE”」と言いながら笑うJ-HOPEの無邪気な姿に、純粋に踊ることが幸せだと感じるダンス好きな少年を見た気がした。

アルバムのタイトルにもなっている楽曲「on the street」については、以前Weverse LIVEにてJ-HOPE自身が解説していたことを思い出す。そこで明かされたのは、「“ストリート”がJ-HOPEに与える意味は他に比べてもすごく特別」という言葉だ。

「J-HOPEが学んできた痕跡たち、人生の教訓、そんな部分が実はそっくりそのまま込めた曲だと言えるし、それぞれの状況に置かれている人々をありのままに感じられる場所というのがストリートだと思うんです」と語っていたように、彼が見せるダンスはそのときの思いや熱量、感情をありのままに表現している感覚になる。だから、目が離せないのだ。決められた振り付けどおりにきっちり踊ることも美しい。だが、ダンスの最大の魅力は内側から湧き上がるものを体現せずにはいられない、そんなエネルギーが放出する瞬間を見届けることなのではないかと、J-HOPEの踊りを見ていると感じる。

そして、J-HOPEのダンスといえば、2021年7月26日の真夜中にライブ配信を行った「늦은 시간 호비 라이브」(レイトタイムホビーライブ)が筆者にとって忘れられない記憶として残っている。深夜2時近くにひとり練習室へと向かったJ-HOPEが、まるで自身の体と対話しながら筋肉をほぐしていき、息が切れるまでフリースタイルで踊る姿を届けてくれたもの。

その時期がちょうど「Permission to Dance」に合わせてARMYにダンスチャレンジ動画を募っていたころでもあったため、「この曲がすごく僕にも楽しさをくれたので、この気持ちをみなさんと一緒に共有したいというのが大きかったんです。タイトル通り、ダンスをするときに許可は必要ないのでいつでもどこでも踊ってください」と話していたのも印象的だった。

J-HOPEという人は、そして彼が愛するダンスは、いつだって私たちが自由であることに気づかせてくれて、バラバラに感じられる世界をつなぎ、そして気づけば笑顔にしてくれる。そんな彼自身の新たな進化を、ダンスという力の可能性を、今一度ストリートという「原点」から見せていく。J-HOPEのあくなき探究心とピュアな好奇心を共有できるドキュメンタリーシリーズ(全6エピソード)が届けられることに胸の高鳴りが止まらない。

(文=佐藤結衣)

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