「制服代の用意が難しい」。中学・高校入学の費用は「食事量」「風呂の回数」減らして工面【子どもの貧困】

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子ども支援に取り組む国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」が経済的に困難な状況にある子育て世帯に対し、中学・高校入学で必要となる費用の一部を支給する「新入学サポート」を行っている。

どのような費用が家計の負担になっているのか。サポート事業に申請した1255人へのアンケートから見えてきた。

アンケートは1月10〜26日に行った。申請した世帯は、新中学1年生が566人(45.1%)、新高校1年生が685人(54.6%)だった。世帯別に見ると、ひとり親が81.9%、離婚調停中で別居しているなど実質ひとり親が3.0%と親1人で子育てをしている世帯が大部分を占めた。

何の費用を捻出するのが難しい?

卒業や入学準備についてどのような費用の用意が難しいかという質問(複数回答)に、新中1、新高1ともに最も多かった回答は「制服代」で、どちらも7割を超えた。次に多かったのはどちらも「運動着代」だった。

アンケートからは、中学ではあまり負担に感じられない費用でも、高校で重くのしかかってくることも見えてきた。「パソコン・タブレット代」だ。中学でこの項目を選んだ人は17.0%だったが、学校からタブレット端末の自費購入を求められることが増える高校では47.0%とほぼ半数が費用の捻出に悩んでいることがわかった。

では、どうやって費用を工面している?

買う余力がなくても、子どもが学校生活を送るためにはそろえなければいけないものばかりだ。各家庭ではどのように費用を工面する予定にしているのか。

中高ともに「他の生活費を削る」が6割超にのぼり、支出を抑える人が多かった。就学援助制度を利用しながらも、「家族・親族からの借り入れ」(中学が16.6%、高校が18.1%)、「クレジットカードによるキャッシング」(同10.6%、同12.7%)、「銀行・消費者金融などからのカードローン」(同4.4%、同7.9%)と借金をしないと入学準備ができない人も少なくなかった。

生活費を削ると答えた784人に支出を抑える方法を尋ねたところ、「親自身の食事量を減らしている」が64.4%で最多だった。「子どもの衣類・靴などを買う回数を減らした・買わなくなった」(62.4%)、「暖房をあまりつけないようにしている」(62.1%)、「子どもへのお小遣いを減らしている・あげてない」(55.0%)と続いた。

子ども関連では「制服・体操着・上履きの買い替えをあきらめた」(33.4%)、「子どもの学習塾や習い事をやめさせた・あきらめさせた」(32.9%)もあり、子どもたちも我慢を強いられている。

「お風呂に入る回数を少なくしている」という人も3割近くいたほか、「子どもの食事量を減らしている」という人も1割超いた。

セーブ・ザ・チルドレンは今回のアンケート結果を踏まえ、制服やタブレット端末など学校が指定する学用品について購入先の選択肢を広げることや新入学にかかる費用の支援制度の拡充の必要性などを国や自治体に提言している。

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