イスラエル軍、アル・シファ病院から引き揚げ 目撃者ら証言

パレスチナ自治区ガザ地区北部のアル・シファ病院から1日、軍事作戦を実施していたイスラエル軍が引き揚げたもようだ。目撃者らがBBCに話した。

パレスチナのメディアは、目撃者やイスラム組織ハマスが運営する保健当局の話として、イスラエル軍が引き揚げた後のアル・シファ病院の付近で、数十人の遺体が見つかったと報じた。

BBCはこの報道が正しいのか確認できていない。ただし、世界保健機関(WHO)は、アル・シファ病院で過去2週間に患者21人が死亡したと発表している。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、同病院への攻撃で200人以上の「テロリスト」を殺害したと主張している。

ガザ市にあるガザ最大のアル・シファ病院は、3月17日夜にイスラエル軍が襲撃した。同軍は、「ハマスのテロリストらがアル・シファ病院内で再編成された」とし、病院が攻撃の拠点として使われていることを示す情報があると主張した。

ハマスは医療施設の使用を否定している。

イスラエル軍はその後、同病院の敷地内で「高精度」の作戦を開始すると発表。敷地内に避難しているガザ住民らに対し、直ちに立ち去るよう求めた。

ここ数週間は、アル・シファ病院の周囲での激しい戦闘が報じられてきた。

中部の病院空爆では記者ら負傷

WHOトップのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、イスラエル軍が引き揚げる前にX(旧ツイッター)で、アル・シファ病院の状況を「包囲」と表現。院内には100人以上がいて、食料や水、医療品の欠乏に苦しんでいるとしていた。

一方、ネタニヤフ首相は31日夜、アル・シファ病院は「テロリストの隠れ家」だとの主張を繰り返した。そして、「正確かつ高精度の」奇襲攻撃を実施したとして、兵士らをたたえた。

ネタニヤフ氏はこの発言の後、定期検診で発見されたヘルニアの手術を受けた。

首相官邸は1日、手術は成功し、首相は回復に向かっていると述べた。

手術が行われていた間、エルサレムでは、ガザでの戦争に対する政府の対応に怒りを募らせている人々がデモを繰り広げた。何千人もが路上に出て、人質解放に向けたさらなる行動を求めた。

人質は約130人がなお行方不明となっている。うち少なくとも34人は死亡したと推定されている。

31日にはまた、イスラエル軍がガザ中部デイル・アル・バラフのアル・アクサ病院を空爆し、BBCの仕事をしているフリーランサーらジャーナリスト7人が負傷した。空爆はパレスチナの武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」を標的としたものだった。

イスラエル軍は、PIJが司令センターとして使っている病院内の建物を攻撃したと発表。ハマスと同盟関係にあり、昨年10月7日のイスラエル攻撃に参加したPIJのメンバー4人を殺害したとした。

(英語記事 Israeli troops pull out of Gaza's al-Shifa hospital - witnesses

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