「下手な営業」は相手を不快にさせる!?…顧客から“感謝の気持ち”を引き出す「上手なセールス」の極意

(※写真はイメージです/PIXTA)

どんなビジネスにも「営業(セールス)」は欠かせません。しかし、下手な営業は相手を不快にさせてしまうため、注意が必要です。では、相手を不快にさせない「上手なセールス」をマスターするにはどのような点を意識すれば良いのでしょうか。宮中清貴氏の著書『お金も知識も自信もない私に、稼げる副業を教えてください!!』(かんき出版)より、詳しくみていきましょう。

セールス=「不快なもの」という“誤解”

【登場人物】

宮中先生……SNSを使ったビジネスの組み立て方や集客方法を教えるコンサルタント兼、起業家。幼い頃から太りやすい体質で、社会人2年目に10kgの減量に成功。自身のダイエット方法をSNSで教えるビジネスをはじめ成功を収める。ひょんなことから、はじめくんに副業の授業を行うことに。

田中はじめ……さえない営業職サラリーマン。営業成績はいつも最下位争い。後輩には “はじめちゃん”と呼ばれ、いじられる日々。今後の社会人人生と上がらない給料に、将来を憂いている。趣味はPCとゲーム、カメラ、YouTube視聴で、彼女なし。

宮中先生:はじめくん。セールスとはお客様を幸せにするものだって言われて、はじめくんは理解できるかい?

田中:いえ、全然できません。むしろお客様を不快にさせてしまうのではないかと、恐怖と申し訳ない気持ちでいっぱいです。

宮中先生:そうなんだね。確かに世の中の多くの人が「セールス=不快(嫌なもの)」と感じているかもしれないね。

田中:本当にそう思います。そして実際に、僕も嫌な経験をたくさんしてきました。

宮中先生:嫌な経験か。たとえば、どんなことがあったのかな?

田中:実は僕、カメラが好きでよく家電量販店に見に行くんですが、あるお店で店員さんがずっと話しかけて来て、新商品をめちゃくちゃオススメしてくるんです!! それがもう嫌で嫌で。その店には行かなくなりました……。

宮中先生:なるほど。カメラが好きだって、言っていたよね。

田中:そうなんです!

宮中先生:それを聞いて僕が思うのは、その店員さんのセールスが下手なだけだと思うよ。

田中:セールスが下手なだけ?

宮中先生:そう。セールスはうまい、下手があるってことだね! これをまず理解してほしいんだ。下手なセールスをされると、セールスされる側は不快だったり、嫌な気持ちになってしまう。きっとはじめくんの頭の中には「売り込まれた!」という強烈な記憶が残って、それがセールス=不快という印象に繋がっているんじゃないかな。

田中:そうかもしれません。

上手なセールスは、お客様に感謝される

宮中先生:でも、実際にこれまでカメラや関連商品を購入したときに、店員さんにオススメされて買った経験はなかったかな?

田中:あ、確かに何度もあります(笑)。

宮中先生:それはセールスと呼ばないのかな?

田中:全然セールスっぽくなかったんです!

宮中先生:それは、はじめくんが「セールス=売り込み」だと思っているからだね。きっとそのときは、紹介してくれた店員さんに感謝して、またこの人から買いたいとか、一緒に別の商品も買ってみたりとかしているんじゃないかな!? そんな接客・販売をしてくれる人はセールスが上手なんだって、僕は考えているよ。

田中:なるほど……。わぁぁぁ!!!! セールスって「お客様を幸せにするもの」ですね! 確かに、僕は幸せな気分で感謝しながら商品を買って、それを使うたびに幸せな気持ちに包まれています。

宮中先生:そういうことなんだよ。上手なセールスっていうのは、お客様に感謝されたり、幸せにしたりすることができる。逆に、下手くそなセールスは、お客様を不快にしてしまう。まずはこれをしっかり覚えてほしい。

田中:考えたことがなかったですが、本当にそうかもしれません! セールスへの考え方が変わりました! 先生、僕も売れるようになりたいです!!

宮中先生:そうだね! では、上手なセールスマンと下手くそなセールスマンの違いについて話していこうか。

田中:お願いします!

セールスが上手な人ほど「お客様第一」、下手な人ほど「自分第一」

宮中先生:では、はじめくん。先に結論から伝えるね。セールスが上手な人はお客様のことを一番に考えている。セールスが下手くそな人は自分のことを一番に考えている。これが結論だよ。

田中:“自分のこと”っていうのは、どういうことでしょうか?

宮中先生:下手くそな人は、ノルマ、売上、実績、報酬、給与アップ、ボーナスなどのように、自分の利益しか考えていないんだ。意識的に考えていなかったとしても、無意識のうちにその行動をとってしまって、「売らないと、オススメしなきゃ」という気持ちでいっぱいになっているんだ。

田中:確かにそう感じるときもありますし、お恥ずかしながら、僕もそう思っていた節がありました……。

宮中先生:はじめくんは素晴らしいね! 自分のできていないことを自覚できることは、成功していく人に共通する考え方なんだよ。だから過去は気にせず、「どう改善するか?」を考えていこう!

田中:はい! ありがとうございます!

宮中先生:話を戻すけど、セールスが上手な人はお客様のことを一番に考えている。だからまず、お客様のことを理解しようとする。そうすると必然的に距離が縮まって仲良くなる。そうすると、「お客様がどうなりたいのか?」を把握できるようになる。

そうなったら、お客様が「それ待ってました! めちゃくちゃ嬉しいです!」と言ってもらえるような提案も自然とできるようになるんだ。

田中:確かに、カメラを買ったときに接客してくれた店員さんは、僕がどんな対象をどんなふうに撮りたいかとか、どんな写真家が好きなのかなど、いろいろと聞いてくれていたように思います。そして、気になったレンズを試している間に、一緒に使うとすごく僕好みに撮れるレンズフィルターを持ってきて提案してくれました。

それがまさに僕が考えてもいなかった、予想を超える性能のものだったんです! 実はちょっと予算オーバーだったんですが、即決で買ってしまいました。

たとえ“その日”に売れなくても「リピート率」が上がる

宮中先生:その店員さんに出会えたことに感謝だね。その店員さんは、お客様が望んでいる最高の商品に出会うと、毎日がハッピーになると知っているし、信じているからいい仕事ができているんだね! そしてお客様を幸せにするために精一杯、仕事をしているんだね!

たとえ、そのときに買わなかったとしても、またそのお店に足を運ぶし、人に紹介したりしないかい?

田中:その店員さんには、本当に感謝しています。そして確かに、何度も行っていますし、カメラ友だちに紹介もしました。

宮中先生:そこがポイントなんだ。お客様のことを一番に考えていたら、その日に購入を勧めないこともあるかもしれない。するとその日の売上は上がらないけれど、長期的に見れば売上は伸びる。

なぜなら、その店員さん目当てで、またお店に行くし、他の人に紹介もする。そして紹介したその人も気に入って、さらに他の人を紹介する……。こんなふうに、売れる人はリピートも多いし、紹介も多いんだ。

田中:確かに……。僕の会社のトップセールスは、新規のお客様への営業に行くことは、もうほぼなくて、「紹介」がすごく多いんです。既存のお客様からも、何度も注文を受けていたりして、すごく仲良くなって仕事をしています。今の話を聞いたら、その謎が解けました。

宮中先生:よかったよかった! これではじめくんは、トップセールスの仲間入りだね!

田中:がんばります!!

宮中 清貴
株式会社ラスディ代表取締社長

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