女子サッカーの最高峰!WSLで活躍する9人の日本選手

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2024年8月、イングランド女子サッカー界に変革の風が吹き込む。英1部の女子スーパーリーグ(WSL)と2部の女子チャンピオンシップ(WC)がイングランドサッカー協会(FA)から完全に独立。運営体制を大きく変え、新組織「NewCo(仮称)」のもとで新たなスタートを切る。

近年では試合がプレミアリーグ(同国男子1部)のメインスタジアムで開催されることもあり、観客動員数も右肩上がりで伸びているWSL。同リーグに移籍する日本人選手の数も徐々に増え、2024年3月31日時点で計9名が所属しプレーしている。ここでは、現在WSLに在籍中の日本女子選手を各所属クラブごとに紹介していく。

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チェルシー・ウィメン FW浜野まいか 写真:Getty Images

チェルシー・ウィメン

浜野まいか

  • 生年月日:2004年5月9日
  • 前所属クラブ:ハンマルビー(スウェーデン女子1部)
  • ポジション:FW
  • 契約年月:2023年1月(2027年夏まで)

WSLで活躍している日本人メンバーの中で最年少の浜野まいか。チェルシーとは2023年1月から2027年夏まで4年半の契約を結んでおり、本契約後すぐにスウェーデン女子1部リーグのハンマルビーへ期限付き移籍した。しかし、肩を負傷したため契約解除となりチェルシーへと戻った。2023年12月17日に行われたWSL第10節ブリストル・シティ戦の74分、FWローレン・ジェームズに代わり途中出場した浜野。怪我を乗り越え、契約から約12ヶ月後の初デビューとなった(3-0)。


マンチェスター・シティ・ウィメンズ MF長谷川唯 写真:Getty Images

マンチェスター・シティ・ウィメンズ

長谷川唯

  • 生年月日:1997年1月29日
  • 前所属クラブ:ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン(イングランド女子1部)
  • ポジション:MF
  • 契約年月:2022年9月

イングランドで活躍している女子サッカー選手として、長谷川唯の名は日本国内にもすっかり浸透してきたのではないだろうか。スターティングメンバーにその名を見ないことが無いほど背番号25の存在は定着しており、マンチェスター・シティも長谷川ありきの現状だ。昨2022/23シーズンは全ての大会を含めると計27試合に出場を果たしている。2022年当初の契約では2025年までの3年契約でサインしていたが、今年1月に改めて2年間(2025年から2027年夏まで)の延長契約を交わした。

長谷川の飛躍的な成長には英国と日本だけにとどまらず世界からも注目が集まっている。昨年は、フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が創設した世界年間最優秀選手に贈られる「バロンドール賞」にノミネートされるなど、その活躍は世界からも認められている。


マンチェスター・ユナイテッド・ウィメン MF宮澤ひなた 写真:Getty Images

マンチェスター・ユナイテッド・ウィメン

宮澤ひなた

  • 生年月日:1999年11月28日
  • 前所属クラブ:マイナビ仙台レディース
  • ポジション:MF
  • 契約年月:2023年9月

宮澤ひなたが世界に羽ばたくきっかけといえば、2023年夏に行われたFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージーランド大会だ。この大会で宮澤は5得点を挙げ、得点王としてゴールデンブーツ賞を獲得。これは、2011年の女子W杯ドイツ大会で日本を優勝へと導いた元なでしこジャパンMF澤穂希さん以来の受賞だった。

W杯閉幕後の9月、マンチェスター・ユナイテッドへと電撃移籍した宮澤。同年10月1日にWSL2023/24シーズンの開幕戦となったアストン・ビラとの試合で、80分に途中出場しデビューを飾った(2-1)。また宮澤はシティ所属の長谷川同様、2023年のバロンドール賞にノミネートされ堂々の12位に輝いている。

リバプール・ウィメン MF長野風花 写真:Getty Images

リバプール・ウィメン

長野風花

  • 生年月日:1999年3月9日
  • 前所属クラブ:ノースカロライナ・カレッジ(アメリカ女子1部)
  • ポジション:MF
  • 契約年月:2023年1月

2018年8月に行われたFIFA U-20女子W杯フランス大会で、日本の初優勝に大きく貢献した長野風花。特に決勝戦(対スペイン)では65分に長野のゴールで点差をつけ、結果3対1で日本がチャンピオンの座を勝ち取った。

長野のプレースタイルといえば落ち着いた姿勢と冷静なパス回しであり、周囲のチームメイトにも安心感を与えていると想像する。移籍後のインタビューでは「得点を生み出すためのパスと力強さをファンのみんなに見せていきたい」とコメントしている。2023年1月にリバプールに移籍した長野。昨2022/23シーズンの出場数は計13回。パス回数は424を記録している。今季も昨季を大幅に上回る活躍が期待される。


レスター・シティ・ウィメンズ FW籾木結花 写真:Getty Images

レスター・シティ・ウィメンズ

宝田沙織

  • 生年月日:1999年12月27日
  • 前所属クラブ:リンシェーピング(スウェーデン女子1部)
  • ポジション:MF
  • 契約年月:2024年1月

籾木結花

  • 生年月日:1996年4月9日
  • 前所属クラブ:リンシェーピング(スウェーデン女子1部)
  • ポジション:FW
  • 契約年月:2024年1月

2023年12月8日、一足先に宝田沙織がレスターとプレ契約。翌月1日に本契約すると続いて同月8日に籾木結花も契約し日本選手のダブル加入となった。直前の所属クラブも同じであることから、レスター初の日本人デュオによるプレーが期待される。今年3月30日に行われたWSL第18節のアストン・ビラ戦では、ともにスターティングメンバーで出場。籾木は前半28分で1得点を挙げ、さらに後半序盤にはアシストで追加点を獲得。結果は2対2の引き分けだったものの、2人のプレーをファンに印象付ける素晴らしい試合となった。

2015年から2019年にレスターで活躍したFW岡崎慎司(現シント=トロイデンVV)から、貴重な経験を得られる場所としてレスターの良さなどアドバイスを受けたという宝田。移籍後のインタビューでは、岡崎が築いてきたものを引き継ぎ、良いものを繋いでいきたいとコメントしている。


ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン DF清水梨紗 写真:Getty Images

ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン

清水梨紗

  • 生年月日:1996年6月15日
  • 前所属クラブ:日テレ・東京ヴェルディベレーザ
  • ポジション:DF
  • 契約年月:2022年8月

林穂之香

  • 生年月日:1998年5月19日
  • 前所属クラブ:AIK(スウェーデン女子1部)
  • ポジション:MF
  • 契約年月:2022年9月

植木理子

  • 生年月日:1999年7月30日
  • 前所属クラブ:日テレ・東京ヴェルディベレーザ
  • ポジション:FW
  • 契約年月:2023年9月

2022年、清水梨紗と林穂之香の2名がウェストハム・ユナイテッドに加入。ともに同年9月18日に行われたエバートン戦に出場しWSLデビューを飾った(1-0)。清水の抜群のスタミナ力と林がみせるスピードや頭脳プレーは現在チームで重要な役割を担っている。そして2023年9月、彗星の如く登場したのが植木理子だ。FIFA女子W杯オーストラリア&ニュージーランド大会で、植木の特出したアタッカーとしての積極性や得点率の高さが目に留まりウェストハムの心を掴んだ。

FW植木とDF清水、そしてMF林と3名それぞれが異なるポジションを担当していることや、なでしこジャパンのメンバーとしてすでに息のあったチームワークが完成されていることから、揃ってスタメン入りする機会も多い。昨年10月1日、植木のWSLデビューとなったシティ戦では3選手がスタメン出場し、シティを率いる長谷川と夢の対決が行われた(0-2)。

今年8月に新組織「NewCo」へと移行し英国女子サッカーがますます盛り上がることを考えると、今後も多くの日本人選手たちが活躍の幅をひろげイングランドサッカークラブの門を叩く可能性が高まりそうだ。

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