うちの子は無償化の対象?子育て支援の「所得制限」まとめ

子育て支援の「所得制限」一覧表つき

国は子育て支援として、児童手当や授業料の無償化など、さまざまな支援策を行っています。

しかし、すべての子育て世帯が支援を受けられるわけではなく、所得制限が設けられている制度があります。

「無償化になると思っていたら、対象外だった」とならないように、制度ごとの対象範囲や所得の要件、2024年度からの変更点などをここで確認しておきましょう。

記事の最後では、子育て支援の所得制限を一覧表にしてまとめています。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

児童手当

児童手当は中学校卒業までの児童を養育している家庭に支給される手当です。

現行制度では、所得制限が設けられています。

しかし、「次元の異なる少子化対策」の具体策となる子ども・子育て支援法などの改正案により、児童手当が拡充されることとなりました。

主な変更点は次の3つです。

  • 所得制限の撤廃
  • 高校生まで支給(支給期間を3年間延長)
  • 第3子以降は3万円に倍増

2024年10月から実施予定です。

現行の児童手当からどう変わるのか、表で比較してみましょう。

児童手当の支給額(1人あたり月額)

所得制限の撤廃

現行の制度では所得制限が設けられており、目安として夫婦と子ども1人(※)の場合は、年収約918万円~1162万円になると一律5000円になり、年収が1162万円を超えると児童手当が支給されなくなります。

この所得制限が撤廃されることになりました。

※年収103万円以下の配偶者と子ども1人など、扶養親族が2人の場合

高校生まで支給

現状の児童手当は中学生まで支給され、高校生になると扶養控除の対象となります。

今回の改正で、3年間延長され高校生まで支給対象となります。

そのため、高校生の扶養控除が見直される可能性があります。

第3子以降は3万円に倍増

これまで第3子以降の増額は3歳から小学生までの10年間でしたが、18歳以下の全期間で増額となります。

また、従来の支給要件が緩和され、第3子以降は年齢を問わず支給される見込みです。

現行の所得制限

現行制度では、特別給付の5000円が支給される限度額「所得制限限度額」とまったく支給されなくなる限度額「所得上限限度額」の2つの所得制限があります。

それぞれの年収の目安を表にしました。

児童手当の所得制限

年収の目安は、給与所得のみで計算しています。

実際は、給与所得控除や医療費控除、雑損控除などを控除した後の所得額で判断します。

幼児教育無償化

2019年10月からスタートした幼児教育・保育の無償化は、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもの利用料が無料になる制度です。

また、住民税非課税世帯の子どもは0歳から2歳児クラスの利用料も無料になります。

3歳から5歳児クラス

所得制限はありません。

3歳から5歳の全ての子どもが無償化の対象となります。

0歳から2歳児クラス

無償化の対象となるのは住民税非課税世帯の子どもです。

それ以外は所得が上がるに従って、保育料も上がっていくシステムです。

保育料は国による基準がありますが、市区町村ごとに決めることができます。

また、子どもが2人以上いる場合は、保育所等を利用する最年長の子どもを第1子とカウントして、0歳から2歳までの第2子は半額、第3子以降は無償となります(年収360万円未満相当世帯については、第1子の年齢は問いません)。

なお、東京都は0~2歳児の第2子以降の保育料が無料となっています。

高校授業料無償化

高校の授業料支援は国による支援のほか、都道府県による支援があります。

都道府県による支援は国の支援の上乗せとなり、自治体ごとに異なります。

詳細は各自治体のHPでご確認ください。

ここでは、国による授業料支援をご紹介します。

「高等学校等就学支援金制度」は、国公私立問わず、高校に通う所得要件を満たす世帯の生徒に対して、国から授業料に充てるための資金が支給される制度です。

世帯年収の目安(※)として、910万円未満の世帯に、年間11万8800円が支給されます。

さらに、私立高校に通う590万円未満の世帯には加算があり、最大39万6000円が支給されます。

※両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安

高校授業料無償化による支給額のイメージ

所得基準は、親の働き方、子の数、子の年齢によって変わってきます。

所得基準に相当する年収の目安を表にしました。

所得基準に相当する目安年収

国による就学支援金によって、公立の高校は授業料が無料になりますが、私立高校は授業料が学校ごとに異なり、また公立高校よりも授業料が高くなるため、国の支援だけでは不十分な場合があります。

そこで、多くの自治体では、所得基準を設けて支援の上乗せを行っています。

東京都では2024年度から所得制限を撤廃し、都内在住のすべての高校生の授業料が実質無料になります(最大47万5000円)。

大学無償化

大学無償化は「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)」のことを指します。

以下の2つの支援が受けられます。

  • 授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)
  • 給付型奨学金の支給

支援の対象となる所得基準は厳しく、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生が対象となります。

年収の目安

さらに資産要件もあります。

学生とその生計維持者が保有する資産(※)の合計額が、生計維持者が2人の場合は2000万円未満、1人の場合は1250万円未満に該当する必要があります。

※現金およびこれに準ずるもの、預貯金並びに有価証券の合計額(不動産は対象としない)

支援額の例は以下になります。

支援額の例

※授業料・入学金は上限になります。

※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生への支援額は、上記の2/3または1/3になります。

2025年度から、少子化対策の一環として、3人以上の子どもを扶養する「多子世帯」を対象に、所得制限を設けずに、大学、短大、高専(4・5年生)、専門学校の授業料と入学金を無償化する方針が示されています。

今後の動向に注目しましょう。

子育て支援の所得制限一覧表

最後に、子育て支援の所得制限を一覧表にしてみました。

その制度を利用する年齢の子どもが1人いる世帯(片働き世帯)の年収の目安です。

子育て支援の所得制限まとめ

児童手当については、2024年10月から所得制限が撤廃されます。

高校授業料無償化は年収900~1000万円あたりが、支給が受けられる境目となっています。

大学無償化は住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯か多子世帯が対象となり、それ以外の学生には恩恵がありません。

今後は、少子化対策を推進する狙いから、所得制限などの支給要件が緩和される方向に進んでいくと思われます。

すべての学生が支援を受けられる制度を期待したいと思います。

参考資料

  • こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
  • 首相官邸ホームページ「令和5年6月13日 岸田内閣総理大臣記者会見」
  • こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
  • 文部科学省「私立高校授業料実質無償化リーフレット」
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度・年収目安」
  • 東京都私学財団「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」
  • 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
  • 文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
  • 内閣官房ホームページ「こども未来戦略会議(第8回)議事次第」
  • 内閣官房ホームページ「こども未来戦略方針の具体化に向けた検討について」
  • 日本学生支援機構「奨学金選択シミュレーション」

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