都路つなぐ自慢の料理 よりあい処華・今泉さん「にぎわい地域に」

「街中ににぎわいをつくりたい」と調理に励む今泉さん(左)=田村市都路町

 田村市都路町は1日、東京電力福島第1原発事故による避難指示解除から10年の節目を迎えた。都路地区への住民の帰還率は9割を超えるものの、人口減少と高齢化、生活環境の改善、地場産業の振興といった課題が残る。一方、穏やかな暮らしを取り戻そうと、住民は前を向いて地域再生に取り組んでいる。

 同市都路町古道の飲食店「よりあい処(どころ)華」が午前11時に店を開けると、仕事休憩の作業員や近隣住民らですぐに活気づいた。店は避難指示解除後に都路地区の憩いの場となっており、年度初めのあいさつを兼ねて顔を出す人の姿も多かった。

 「月曜日はあんまり(お客が)来ないんだけれど、今日はたくさん来てくれたね」。店主の今泉富代さん(76)は、来店客に笑顔で自慢の料理を提供した。

 店は避難指示解除から2カ月後の2014年6月1日にオープンした。市都路行政局にも近く「帰還した住民が再び交流できるような店にしたい」と実家を改修した。今泉さんに加え、昔からの友人や店で知り合った人が手伝っており、家庭的な温かい雰囲気に包まれている。

 今泉さんは「解除後、復興支援などでたくさんの人たちが都路に出入りして、この地域の良さを知ってくれた。これからも地域が続いていくように、街中でマルシェを開いてにぎわいをつくりたい」と意気込む。

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