彼氏に奨学金の未返済分が300万円もあることが分かりました。結婚の話は返済が終わってから検討したほうがよいのでしょうか?

奨学金300万円の返済は毎月いくら? 完済まで何年かかる?

「借金が300万円ある」と聞くと、収入の多くが返済に消えてしまうのではないかとイメージする人もいるでしょう。実際に奨学金を300万円借りた場合、毎月いくらくらいの返済をどのくらいの期間続ければ完済できるのでしょうか。

独立行政法人 日本学生支援機構が提供している「奨学金貸与・返還シミュレーション」を用いてシミュレーションした、奨学金300万円の返済額・期間は図表1のとおりです。

独立行政法人 日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」を用いて筆者作成

返済額は奨学金の種類や利率などの条件によって異なりますが、毎月1万5000円前後という結果になりました。収入額によっては負担になる金額かもしれませんが、正社員として安定した収入を得ていれば、家計を大きく圧迫するほどの金額ではないと感じる人も多いのではないでしょうか。

返済期間は17年間かかります。20代前半から返済を始めると、完済時には30代後半~40代です。完済を待ってから結婚を検討するとなると、出産や子育てなどの計画に支障が出る可能性もあるでしょう。

余裕があるときには繰上返還をすると完済を早められる

どうしても奨学金の借り入れが残ったまま結婚に踏み切ることに不安がある場合は、資金に余裕があるタイミングで繰上返還を検討するのもひとつの方法です。第一種奨学金、第二種奨学金のいずれも、一般的なローンと同じように、返済の一部または全部を繰り上げることができます。

一部繰上返還をすると、繰り上げたぶんの返済期間が短縮されるため、予定よりも早く完済が可能です。

返済が厳しいときは減額返還制度を利用できる場合がある

毎月問題なく返済していたのに、災害や病気、ケガなどの理由で収入が減って返済が難しくなった場合は、減額返還制度を利用できることがあります。制度を利用すると返還月額が2分の1または3分の1に減額され、1回につき12ヶ月、通算15年までの延長が可能です。

結婚するなどして被扶養者がいる場合は収入の要件が緩和されるため、減額返還制度を利用しやすくなります。

奨学金返済中の収支やライフイベントを想定して結婚時期を判断しよう

結婚を奨学金の返済中にするか完済後にするかを判断するには、ふたりの収入の状況や奨学金の返済計画などを踏まえて、結婚後の生活費を具体的にシミュレーションしてみる必要があります。

奨学金の返済を含めた日常的な収支に問題はないか、出産・育児、住宅の購入など、ライフイベントごとの支出にも対応できるかなどを検討し、家計のやりくりに問題がないと判断できたら、返済中の結婚も視野に入れるとよいでしょう。

なお、奨学金の借り入れ状況は、住宅ローンやマイカーローンなどの申し込み時には申告する必要があり、借入可能額などに影響します。とくに滞納がある場合はローン審査の上で大きなマイナスとなり、借入が困難になる可能性が高いでしょう。

このような点も考慮して、奨学金の返済計画や結婚のタイミングをよく検討することが大切です。

奨学金返済と家計が両立できそうなら完済前の結婚もアリ

奨学金の返済額や期間は、利用した奨学金の種類や利率などの条件で異なります。大きな貸与額に見えても毎月の返済の負担はそれほど大きな金額ではない場合もあるため、結婚などの判断に迷った場合は、どのような条件で奨学金を借り入れたのかをまず確認しましょう。

その上でお互いの収支や予想される生活費などをシミュレーションし、奨学金を返済しながら家計を回していけるかどうかをよく話し合うことをおすすめします。

出典

独立行政法人 日本学生支援機構
奨学金貸与・返還シミュレーション
平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率
繰上返還について
繰上返還申込み
減額返還制度の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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