2024年から新NISAが始まり、自分も株式投資をしてみようかと考えている方も多いでしょう。しかし、株式投資は預金ほど手堅いものではありませんし、一攫千金を狙えるギャンブルのようなものでもありません。本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、株式投資初心者に向けて、株式投資の「リスクとリターン」について詳しく解説します。
元本割れするし、数十%の損失を被ることがあるのが株式投資
株式投資には元本割れリスクがありますし、場合によっては数十%の損失を被ることもあります。数十%の大きな損失は、買う銘柄の選択を間違えたときと、市場全体が暴落するときに起こりえます。
市場全体の暴落とは、たとえば1987年のブラックマンデー、1990年代初頭の(土地と株の)バブル崩壊、2000年代初頭のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック、などが挙げられます。
買う銘柄の選択を間違えた場合はその銘柄の株価がどんどん下がっていくこともありますし、株式市場全体が暴落すれば、大きな損失を被ることもあります。
それに対する対策は、「一定以上現金を残しておくこと」ではないでしょうか。ある程度の現金があれば、たとえ保有株式全体の価格が数十%下がっても、損失によるダメージを一定以下に食い止めることができます。
もし豊富な現金が残っているならば、そのタイミングで安い株を多量に買うことも可能です。後に株価が上昇すれば、大きな利益となるでしょう。
運用資産が毎年10%増えれば上出来なのが株式投資
また、うまくいったとしても、運用資産が毎年10%増えれば上出来なのが株式投資です。長期的にみると株式市場というのは、平均で金利プラス5~6%ずつ成長し続けているといわれています。
つまり、ほぼ金利が0の日本で日本株に投資をした場合、毎年平均して運用資産が5~6%ずつ増えていくのが普通だといえるのです。したがって、毎年10%ずつ増えていけば、それは上出来といってよいでしょう。
もちろん、長年にわたりそれ以上の成績を残している投資家もいますが、そういう人はそう多くはないはずです。
そのうえでより多く利益を出したいならば、多額の資金を運用することが重要になります。100万円を5%で運用すれば利益は5万円ですが、1,000万円を5%で運用すれば利益は50万円です。同じ率ならば、元本が大きいほど儲かるのが株式投資なのです。
また、運用期間が長くなれば、複利が効いて儲けも大きくなっていきます。1,000万円を毎年5%で運用し、利益をすべて再投資に回して複利を効かせれば、5年で「1,000万円×(1.05の5乗)=約1,280万円」、10年で「1,000万円×(1.05の10乗)=約1,630万円」、20年で「1,000万円×(1.05の20乗)=約2,650万円」となるのです。
上出来の成果を出すためには勉強、研究、精神力が必要なのが株式投資
そして、よい成果を出すためには勉強、研究、精神力が必要なのが株式投資でもあります。
株式投資は知的な勝負ですから、会計、企業価値評価、ビジネス、経済、金融、優秀な投資家の投資法など、多くを知れば知るほど優位に立てるものです。
そして、ネットや書籍などでは調べられない、誰も知らない観点や投資法を研究し、人より一歩秀でる努力も必要でしょう。また、株価の変動に右往左往されない冷静さや、待つべきときに待つ忍耐力など、精神力も必要なのが株式投資です。
そういう適性がないけど投資をしたいという方は、手数料の安いインデックスファンドに投資をするのがよいでしょう。インデックスファンドとは、「日経平均」「S&P500」など、代表的な株価指数に連動させた運用をする投資信託で、それを買って何もせずに保有し続ければ、市場平均並みに利益を出すことが可能なのです。
しかしそれ以上を目指すならば、勉強、研究、精神力が必要であると認識しておいたほうがよいでしょう。
そう甘いものではないのが株式投資
新NISAが始まり投資に興味を持つ人が急増していますが、株式投資には元本割れリスクがありますし、場合によっては数十%の損失を被ることもあります。それに対する対策の一つは、一定以上現金を残しておくことです。
また、うまくいったとしても、運用資産が毎年10%増えれば上出来なのが株式投資です。そのうえでより多く利益を出したいならば、多額の資金を運用することと、早く株式投資を始めることが重要となります。
そして、上出来の成果を出すためには勉強、研究、精神力が必要なのが株式投資でもあります。そういう適性がないけど投資をしたいという方は、株式ではなく手数料の安いインデックスファンド(投資信託)に投資をするのがよいでしょう。
川合 一啓
株式会社ソーシャルインベストメント
取締役CTO