バイデン氏と習氏が電話協議 相互協力と台湾など議論

ケイラ・エプスティーン、BBCニュース

アメリカのジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席が2日、電話で協議した。両国間の緊張を抑えるのが狙いだった。

協議の要約によると、両首脳は気候変動や麻薬撲滅への取り組みなど、共通する課題での協力に向けた道筋について話し合った。

ただ、台湾と経済問題については、意見に大きな違いがみられた。

バイデン氏は、台湾への支持を強調。習氏は、南シナ海におけるアメリカの干渉を「レッドライン(越えてはならない一線)」と呼んだ。

習氏はまた、アメリカが中国および中国系企業に科している制裁を、「中国の経済、貿易、科学技術を抑制するための際限のない措置」だとして問題視。国営メディアによると、「アメリカが中国のハイテク開発を抑圧し、中国の正当な発展の権利を奪う姿勢を示し続けるなら、私たちはじっとしてはいない」と伝えたという。

こうした意見の相違はあったものの、米ホワイトハウスと中国国営メディアは共に、対話は「率直で建設的」だったと評した。人工知能(AI)をめぐる懸念や、軍同士のコミュニケーションなどについても話し合われたという。

台湾めぐり緊張も

米シンクタンクのウィルソン・センターのキッシンジャー米中研究所のロバート・デイリー所長は、今回の電話協議について、「大部分がパフォーマンスで、両国が実際にはうまく関係を管理していることを世界に示そうとするものだった」と述べた。

とはいえ、1時間45分に及んだ対話で浮き上がった相違点が、取るに足らないものだったわけではない。

協議の要約によれば、習氏は米政府の台湾支持と対中制裁の追求は、「リスク削減」ではなく「リスク創出」だと強調した。これに対しバイデン氏は、台湾政府を支持する姿勢を崩さなかったという。

デイリー所長はまた、今回の協議について両国は、協力と対話に重点が置かれたと説明しているが、「雪解けの兆候となるものではない」と強調。

「両国関係が長期的には非常に険悪になりうると両首脳とも分かっており、どちらも責任ある管理をしていると示したがっている」と解説した。

両首脳の対話は、昨年11月に米カリフォルニア州サンフランシスコで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議以来。

今後、両国関係にとって重要な予定が続く。

来月には台湾で、中国政府が「トラブルメーカー」「分離主義者」と呼ぶ頼清徳氏が総統に就任する。

また、アメリカのジャネット・イエレン財務長官の訪中も近々予定されている。アントニー・ブリンケン国務長官も数週間内に中国を訪れる見通しとなっている。

(英語記事 Biden and Xi discuss US-China cooperation and conflict

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