NASA太陽探査機、「コロナ質量放出」の内部を初観測–不安定な流れを可視化

米航空宇宙局(NASA)の太陽探査機「Parker Solar Probe」が「コロナ質量放出(Coronal Mass Ejection:CME)」の内部を初めて観測した。

Parker Solar Probeは2018年に打ち上げられた探査機で、太陽コロナの直接観測が目的。金星の重力アシスタントを利用して、太陽表面に接近している。2023年10月に人類史上最速となる時速63万5266kmに到達している。

CMEは太陽から突発的にプラズマが放出される現象。太陽表面での爆発現象である「太陽フレア」よりも地球の磁場に与える影響が大きいと考えられている。

今回、Parker Solar Probeは、可視光を検出する「広視野イメージャー(Wide-Field Imager for Solar Probe:WISPR)」でCME内部の透明な乱流渦である「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性(Kelvin–Helmholtz Instability:KHI)」を捉えることに成功した。WISPRは、米海軍調査研究所(Naval Research Laboratory:NRL)などが開発した。

Parker Solar Probeは楕円軌道を飛行することで、11.5太陽半径(約800万4000km)まで太陽コロナに近づくことができた。今年の11月に探査機は7回目の金星スイングバイを行い、2025年以降は9.5太陽半径(約661万2000km)まで近づくことになる(太陽半径は恒星の大きさを表す単位、1太陽半径は約69万6000km)。

コロナ質量放出の内部で動く透明な乱流渦であるケルビン・ヘルムホルツ不安定性を初めて捉えた(出典:NRL)

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NRLプレスリリース
Space.com

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