ゼレンスキー大統領、徴兵年齢を引き下げる法案に署名 27歳から25歳に

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2日、徴兵年齢を27歳から25歳に引き下げる法案に署名した。

ロシアの全面侵攻開始から3年目に突入し、ウクライナは戦場で多大な犠牲を払っている。一方のロシアは、マンパワーで大きく有利に立っている。

志願兵が減少する中、ゼレンスキー大統領が法案に署名したことで、当局はさらに多くの国民を軍に招集できるようになる。

ゼレンスキー氏は昨年12月の時点で、さらに50万人の兵士が必要だとの見解を示していた。

今回の法案は昨年5月に可決されていたものの、ゼレンスキー氏が署名するまで施行されていなかった。

大統領が署名に至った経緯は明らかになっていないが、大統領は以前、ロシアが今年の春か夏に攻勢をかけるかもしれないと警告していた。

ゼレンスキー氏が法案に署名したことは、ロシアの攻勢に備え、ウクライナが強固な防衛体制を築こうとしていることを意味する可能性がある。

ウクライナ軍は昨年、ロシアが獲得した領土の大部分を取り戻し、ロシアのクリミアへの補給線を断ち切ろうとしていた。

しかし、制空権を欠き、反転攻勢はロシアの手強い防衛線に直面。冬の始まりとともに停滞し、ロシア軍がウクライナを圧倒するのではないかと懸念されている。

ウクライナ軍のオレクサンドル・タルナフスキー司令官は昨年、外国からの支援の減少により、すでに軍事作戦の縮小を余儀なくされていると述べていた。

ウクライナは欧米の物資、特に長距離ミサイルや防空システムの納入に大きく依存してきた。しかし、アメリカや欧州連合(EU)からの何十億ポンドもの援助は、政治的な対立の中で滞っている。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、60万人以上の軍隊がウクライナで戦っていると述べているが、何人がそこで命を落としたかは明らかにしていない。

昨年12月に発表された米情報機関の機密報告書では、これまでに31万5000人のロシア軍兵士が死傷したと推定している。これは、侵攻開始時のロシア軍兵士のほぼ90%にあたるという。

一方、ゼレンスキー氏は2月、開戦以来3万1000人のウクライナ兵が死亡したと発表した。だが、米当局は少なくとも7万人のウクライナ兵が死亡し、12万人が負傷したとの見方を示している。

(英語記事 Ukraine lowers combat call-up age to boost numbers

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