生まれ故郷は広島 春場所幕下全勝優勝の新十両、風賢央 2歳まで安佐北区で過ごす

幕下優勝の賞状(左下)などを前に思い出を語る浩彦さん㊧とるみさん

 大相撲春場所の幕下で全勝優勝し、新十両となる風賢央(かぜけんおう・押尾川部屋)=本名・住木厳太さん(24)=は、広島市安佐北区亀山で2歳まで過ごした。父親の転勤で転々とし、相撲道を歩み始めた愛媛県を出身地として登録しているが、「郷土の関取」への期待は生まれ故郷でも膨らんでいる。

 風賢央の両親は、転勤生活を経て現在、亀山の父浩彦さん(56)の実家で暮らす。幕下優勝を決めた3月22日は、母るみさん(55)が大阪市のエディオンアリーナ大阪で取組を見守った。「勝利の瞬間、『やったー』と思わず叫んだ。苦労が形になった」。預かった賞状を手に振り返る。浩彦さんは「勝負の世界はさらに厳しくなる。劣勢を立て直せる力士になってほしい」と願う。

 1999年6月、安佐北区内の産婦人科で産声を上げた風賢央。2歳で離れるまでに、近くの保育園にも通ったという。本名の「厳太」には「自分に厳しく、太く生きてほしい」との両親の思いがこもる。

 小学生時代を過ごした松山市では3年生の時、未経験ながら市の相撲大会で優勝。地元の道場から誘いを受けて本格的に稽古に打ち込んだ。愛媛県西予市の野村中、野村高に進学。高3で迎えた愛媛国体(2017年)で個人準優勝を飾り、中央大を経て22歳で押尾川部屋に入門した。

 盆や正月には、たびたび広島に帰ってくるという。新型コロナウイルス禍のさなかには大学相撲部の活動も自粛を強いられ、3カ月ほど帰省した。太田川の護岸や国道沿いをほぼ毎日、ランニング。テイクアウトのお好み焼きは「そばダブル」を3枚たいらげた。

 今年1月にも近所であいさつ回りをしたばかり。住民からは、十両昇進を祝う横断幕を作る動きも出ている。地元の河戸自治会の山本孝会長(73)は「地域の期待の星として、テレビ観戦や新聞を見るのが楽しみ」と声を弾ませる。

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