台湾地震、600人以上がトンネルや道路の崩壊などで動けず 救助活動続く

台湾東部沖で3日朝に発生したマグニチュード(M)7.4の地震で、4日朝までに死者は少なくとも9人、負傷者は1000人以上に上った。トンネルなどに閉じ込められたり、建物や道路の崩壊などで孤立したりしている人は、4日午後の時点で646人に上っており、救助活動が続いている。

台湾の海岸沿いは狭く曲がりくねった道路が続き、岩をくりぬいたトンネルがいくつもある。それらが地震で崩壊し、多数の人が出られなくなっているとみられている。

東部・花蓮市の海岸部の二つのトンネルには計77人が閉じ込められ、4日朝も救助活動が続いた。その一つの清水トンネルでは、手前の道路が崩落しているのが写真でわかる。

海岸沿いのルートは、山から見下ろす太平洋の絶景で知られ、観光客に人気となっている。一方で、土砂崩れの可能性がある危険な道でもある。

花蓮市郊外にある太魯閣国立公園に続くルートの近くでは、登山道を歩いていたハイカー3人が死亡した。また、4連休を前に人気ホテルへと移動中だったスタッフ50人が閉じ込められた。

炭鉱で作業中だったという人は、周辺で、「弾丸のように」岩が崩れてきたと証言した。

「山から弾丸のような岩が降ってきて逃げ場を失い、みんな土嚢(どのう)の陰に逃げ込んだ」と、この男性は台湾の中央通信社に語った。

地元メディアによると、閉じ込められている人々には、空から食料が投下されたという。

BBC取材班は4日朝、救援スタッフらが列車の運行再開を目指し、線路近くで車ほどの巨大な岩を撤去しているのを目撃した。

「ベッドから起き上がろうとしたら……」

最も被害が大きかったのは花蓮市で、建物が倒壊し、道路は通行できなくなり、鉄道も運行不能となった。

同市在住のオーシャン・ツァイさんは、「ちょうどベッドから起き上がろうとしたとき、洋服掛けと低いキャビネットが倒れた」、「揺れはどんどん強くなり、家の中の物が心配になった。幸いなことに、オートバイが倒れた以外、たいした被害はなかった」とBBC中国語に話した。

花蓮市の北に位置する台北でも大きな揺れが感じられた。映像では、住宅が倒壊し、人々が自宅や学校から避難する様子が見て取れる。現地テレビ局は、車が壊れ、商店の内部がぐちゃぐちゃになっている状況を伝えた。

停電とインターネットの通信断絶は島全域で報告された。

余震とみられるM4以上の揺れは少なくとも9回起きている。

台湾はこれまでも大きな地震に見舞われてきたが、台北で長年暮らす住民らは、今回の地震はここ数十年で最も強かったと話している。

台湾の中央気象署地震観測センターの呉健富所長は、「この地震は陸地に近く、浅い。台湾全土と沖合の島々で感じられた。ここ25年で最も強い地震だ」と語った。

台湾の前回の大規模地震は1999年9月に発生。M7.6の揺れで2400人が死亡、5000棟の建物が倒壊した。

はX(旧ツイッター)で声明を発表し、日本やパラグアイなどの「仲間と友人」から支援の申し出があったことに感謝した。

同省はまた、中国が心配していることにも感謝を表明した。ただ、中国に支援を要請することはないだろうとした。台湾は自らを主権国家とみなしているが、中国政府は台湾を離脱した省とみなし、中国に主権があるとしている。

(英語記事 Taiwan wakes up to aftermath of worst earthquake in 25 years

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