反町隆史、『GTO』復活の反響受け異例の取材対応 続編の可能性や松嶋菜々子との共演秘話も

1998年に放送された連続ドラマ『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)が26年ぶりに復活し、カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ『GTOリバイバル』として4月1日に放送された。放送後の大反響を受けて、鬼塚英吉役で主演を務めた反町隆史が4月3日、メディアの囲み取材に応じた。

ドラマ放送後にキャストが取材に応じるのは異例のこと。今回の囲み取材は、『GTOリバイバル』の反響を経て、取材や記事などで作品を盛り上げてくれたメディアに対してお礼を伝えたいという反町自身の意向で急遽実現した。

放送後に知り合いから、親子で『GTOリバイバル』を観ている様子を写した写真が送られてきたという反町。「僕がこの『GTO』を本当にやってよかったなと思う瞬間でもありました。昔と比べて視聴者がそこまでテレビの前に座らない時代に、みなさん集まって『GTO』に触れてくれたことに対して本当に感謝です。僕の友達からも、2~3世代で一緒に観たという声だったり、子供たちが初めて鬼塚を見て『なんかこの先生いいね』と言ってくれたとか、『GTO』を観ていたその親御さんたちが『昔はこういう先生がいたんだよ』とか『26年前に鬼塚が熱く語っていた人間の心情はこういうことなんだよ』と子供に教えられたという声を聞いて、俳優として『GTO』に携わって、また鬼塚英吉を素晴らしい形でリバイバルできたことに感謝しかありません。ありがとうございます」と感謝を述べた。

プロデューサーの河西秀幸曰く、視聴率としても親子視聴の数字が良かったという『GTOリバイバル』。今回のスペシャルでも新録版が使用された『GTO』の主題歌「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~」の歌詞にある「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ」が今の若者にも刺さったのではないか、と河西プロデューサーが問いかけると、反町は「実は26年前に自分が『言いたい事も言えないこんな世の中じゃ』という歌詞を書いたときは、自分で書きながらも今ほど沁みる感じではなくて。学生だった若いときの等身大の自分のことを書いたんです」と自ら作詞した当時を振り返る。続けて、「ちょうど『相棒』(テレビ朝日系)をやっているときに、“「POISON」を聞かせたら赤ちゃんが泣き止む”という現象が大きな話題になって(笑)。そのときに歌詞を見返して、『あれ?』って思ったんですよね。鬼塚と『POISON』は切っても切れない関係ですけど、この言葉を通して何か伝えることができるんじゃないかなというのが始まりでした」と話し、「今の時代に何か感じていただけるチャンスになるんじゃないかというのと、またもう一度、視聴者をリアルタイムでテレビの前に呼べる可能性があると思った」と、『GTO』復活の舞台裏を語った。

そんな『GTOリバイバル』を自身もリアルタイムで観たという反町。「過去の生徒の4人ともLINEで繋がってますから、もちろん別々ですけど『観るよ』と連絡を取り合いました」と、『GTOリバイバル』にも登場した1998年版『GTO』の生徒役キャスト、池内博之、窪塚洋介、山崎裕太、小栗旬とオンエア時にやりとりをしていたこと、そして放送後に自ら“反省会”をしたことも明かした。一方で4人からは「鬼塚先生が復活するだけでいいんですよ」「本当に楽しかったです」というようなメッセージが届いたそう。

また、冒頭の鬼塚と4人の再会シーンの裏話も。「居酒屋でみんなで集まって、『先生ちょっとお願いしますよ』みたいな話になって、鬼塚が『お前らの頼みだったらなぁ。わかったわかった』って言って主題歌がかかる。すごく簡単なシーンに見えますけど、実は難しいんです。あれだけで鬼塚が動かなきゃいけないんですから。でもセリフを言えば言うほどおかしくなっていっちゃう。違和感なく鬼塚を説得するのは、よっぽどのことがない限りできないことなんですけど、それはやっぱり彼らの存在感。カメラが一人ひとりに寄って、その存在感で視聴者を納得させるんです。だから『リバイバル』というところで言えば、今回の新しいキャストの方々ももちろんそうですけど、まず第一に、藤木(直人)さんもそうですし、98年版の生徒のみなさんが出てくださったことで成立させることができました」。

ちなみに彼らとのグループLINEは“意外と熱い”そう。「グループLINEはもう先生と生徒って感じではない。結構みんな言いたいことを言うグループLINEで(笑)。勝手なことばっかり言ってる人もいれば、リアクションしない人もいる。小栗くんなんかほとんど無視で、ほとんど返ってこないんだけど(笑)。だいたい裕太と窪塚と俺の会話が多くて、あとの2人は一言二言とか、3日後に返ってくるとか。忙しいのかもしれないですけどね」と4人とのやりとりの詳細も明かしてくれた。

放送後に最も大きな反響があったのは、鬼塚の元同僚で現在は客室乗務員として働く、鬼塚の妻・冬月あずさと鬼塚のシーン。妻である松嶋菜々子との“夫婦共演”が実現した背景ついて聞かれると、「26年後の『GTO』をやるにあたって、鬼塚英吉にとって冬月あずさは切っても切れない存在ですから。視聴者に対しても彼女が今どうなっているのか、その姿を見せたかった。俺が視聴者だったら見たいので。ただそれは芝居とかではなく、空気感としていいふうに伝わったかなと思います」と答えた反町。「あんまり仕事の話はしないんですけど、オンエアが終わってから『ありがとう』って一言お礼を言いました。本当によかったかなと思います」と、実生活でも夫婦の松嶋とのやりとりを明かした。ちなみに、ロケ撮影だったため控え室はなく、別々で現場に入ったとのこと。

なお、鬼塚と冬月が対面するシーンは、初期の台本では居酒屋の設定だったそう。「最初はあずさが居酒屋に迎えに来る設定だったんです。それで『いや、ちょっと待ってください。なんで居酒屋?』っていう話の中で、やっぱり学校に迎えに来るほうがいいんじゃないかと。それを元生徒たちは知ってて、あずさは鬼塚がやったことを知りながら、『なんで電話出ないの』と迎えに来る。それがすごくいいんじゃないの?という話をみんなとしました」と語る反町。すると河西プロデューサーが「あのシーンって外じゃないですか。皆さんが揃うのって1日だけだったんですよ。だから雨が降ったら成立しないシーンでした」と打ち明ける。反町がすかさず「どうするつもりだったの?」と聞くと、「そこはもう神に祈ろうと」と河西プロデューサー。反町は「そんな博打みたいなことやってたんだ(笑)。1日しかなかったんだ……。なんかすごかったですよね。元生徒4人も、26年ぶりに反町と冬月を見ている。でもなんか、違う感情で見てるのが伝わってくるんです(笑)。テレビドラマとして観ていたものをそのまま見てるみたいな。その目線はすごくわかるんです。そこで僕もちょっと気持ちを持っていかれるんですよね。だからいかに自然にできるかというところではありました」と当時の心境を明かした。

放送後、さらなる続編の放送や連続ドラマとしての復活を希望する声もたくさん届いているそう。それに対し反町は、「どんな『GTO』を見せるか、その方向性は何種類かあると思うんです。僕がやっていた一番最初の『GTO』を見せるやり方もあれば、もうちょっとライトにするやり方もある。今回脚本を作るにあたって一番最初に話し合ったのは、どの『GTO』をやるかということ。僕個人としては、当時観てくださった方々に対して、裏切りのない形で『GTO』、そして鬼塚英吉をやることをまず一番に考えました。でもその中で、『GTO』を知らない子供たちが初めてこの作品を観たときに、鬼塚を先生として受け入れられるかが大事だと思うようになった。昔みたいにちょっと破天荒で行き過ぎている鬼塚よりも、もう少しライトに描くことによって、『この先生なんか3歩ぐらい先行ってて、本音を言ってくれるから面白い』と思ってもらえると思ったんです。たぶん昔の鬼塚だったら、今の子供たちからすると10歩も20歩も先に行っているような先生だと思うので。なので、そこに合わせようということを話し合いました。それをしたことによって、今の子供たちと、その親御さんの世代にも届いたと思います。ただ、今後もしまた機会をいただけるのであれば、昔の根っこの、元暴走族上がりの鬼塚を見せたいなとは思います」と笑顔で語った。

長らく音楽活動から離れていた反町だが、今回、BLUE ENCOUNTがリバイバルアレンジした主題歌「POISON」にフィーチャリングとして参加。「今後もし歌番組のオファーがあったら?」という質問が飛ぶと、「いやいやいや……」と笑いながら、「たぶんないと思います」とやんわり否定。一方で、「そのときは考えます」と可能性を残した。

また、26年前と変わらないビジュアルが話題になったことに話が及び、その秘訣を聞かれた反町が、「それは資生堂を使ってください」と夫婦でCMに出演している資生堂をアピールし、記者の爆笑をさらう一幕も。

そんな反町が『GTOリバイバル』で最も印象に残ったシーンとして挙げたのは、鬼塚が教員採用面接を受けるラストシーン。教師としてのモットーを聞かれた鬼塚が、「子供たちに明るい未来を。こんな世の中で明日どうなるかなんて誰にもわからないじゃないですか。でも生きていれば必ずいいことがある。どんな小さい夢でもいいから見てほしいんです。未来を諦めてほしくないんです。そのために教師やってますから」と言うシーンだ。反町が「あそこは自分の気持ちの中で鬼塚らしいセリフを入れさせていただきました」と語るセリフだが、もともとは「生涯一教師」というシンプルなセリフだったという。

「俺が河西さんに『いや、ちょっと待って』って。やっぱり一番最後に、俺は子供たちに夢を持ってほしい、可能性をもっと感じてほしい、と。だから『このセリフちょっとどうかな』って言って」とセリフを変更したエピソードを明かした反町。「やっぱり夢を諦めてほしくないし、夢を持ってほしい。ドラマの中でも『夢なんて持ってもしょうがないじゃん』って言う生徒がいるんですけど、『でも俺は昔、夢あったよ』って。みんながみんなではないとは思うんですけども、やっぱり子供たちには、たくさんの夢と、たくさんの可能性を持ってほしいなっていうのがあって。その僕の気持ちと鬼塚の気持ちはたぶん同じだろうなと思いました。子供たちにはどんな小さい夢でもいいから見てほしいっていうのは、50歳になった鬼塚のセリフじゃないかなと思いました」と最後のセリフに込めた思いを明かした。

反町曰く、いろんな可能性を持っているのが『GTO』。『GTOリバイバル』の反響に関しても、「自分が想像していた以上なところがあったので、本当にやって良かったなと思います」と振り返る。最後に反町は「今回の『GTOリバイバル』、本当にありがとうございました。今後も愛される『GTO』でありたいなと思います」とメッセージを寄せた。

(取材・文=宮川翔)

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