フランス南部ニースに住む男女のカップルが、多数の動物を極めて劣悪な環境で飼っていたとして、禁錮1年の執行猶予判決を受けた。カップルの女性は、多頭飼育で問題を起こす人にみられる「ノア症候群」と診断された。
このカップルは、広さ80平方メートルのアパートで159匹の猫と7匹の犬を飼っていた。
動物たちは昨年、不潔な状態で発見された。多くが脱水症状や栄養不良に陥り、寄生虫に感染している個体もあった。
判事は、このカップルが適切な飼育を怠ったと判断した。
女性(68)と男性(52)には、ペットの飼育を生涯禁じる命令も出された。さらに、動物愛護団体と公共団体に15万ユーロ(約2500万円)以上を支払うことも命じられた。
女性は2018年に、両親が飼っていた猫3匹と犬3匹を引き取った。その後、廃墟に住んでいた猫30匹を自宅に持ち込んだ。動物たちはその後、繁殖した。
女性は、「(動物たちを)見捨てれば、自分が見捨てられた」と感じただろうと語った。
精神鑑定で女性は、適切な救護ができない場合でも動物を救いたいという衝動に駆られる「ノア症候群」だと診断された。
10年前にも
警察は昨年、カップルが住むアパートでのいさかいに介入した際、各部屋に数十匹の動物がいるのを発見した。当局は、部屋全体に動物の糞(ふん)尿があったと報告している。
一部の猫や犬は、保護された後に死亡した。
また、少なくとも猫2匹と犬2匹の死骸が浴室で発見された。
アパートの所有者だった女性は裁判で、動物たちは「最愛の存在」だったが、自分は「失敗」したのだと述べた。
検察側は禁錮1年6カ月を求刑していた。
このカップルは2014年にも、広さ18平方メートルのワンルームで13匹の猫と犬1匹を飼っていたことで、捜査の対象となった。
(英語記事 French couple who kept 159 cats banned from keeping pets)