中国黒竜江省の林区、環境に配慮した発展理念を実践

中国黒竜江省の林区、環境に配慮した発展理念を実践

重点国有林区を管理する中国竜江森林工業集団の青果栽培ハウス。かつては木材置き場だった。(3月11日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

 【新華社ハルビン4月4日】中国東北部、黒竜江省の重点国有林区で天然林の商業伐採を全面的に停止してから、1日で10年となった。省内を走る二つの山脈、大興安嶺と小興安嶺では新規開墾や放牧、伐採を禁じて森林を育てる「封山育林」を実施。森林生態系に生育する植物、微生物、動物を原料とする「森林食品」や自然環境を生かした観光など、木材以外の森林資源を利用した「林下経済」を発展させてきた。

中国黒竜江省の林区、環境に配慮した発展理念を実践

伐採停止前に中国竜江森林工業集団が木材運搬に使用していた車両。(3月13日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

 同省の重点国有林区は1950年ごろから木材の生産量が全国の約半分を占め、新中国の建設と発展を支えた。長期にわたる大規模伐採などが響き、森林資源が急速に減って生態環境が悪化したことを受け、98年に天然林資源の保護事業が試験的に開始。伐採量は2014年に全面停止するまで大きく減っていった。

中国黒竜江省の林区、環境に配慮した発展理念を実践

中国竜江森林工業集団のシソ製品加工生産ライン。黒竜江省の重点国有林区はかつて木材販売が主力産業だった。(3月14日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

 林区で林業に従事していた数万人の労働者も、木の伐採から森林保護へと役割を変化させていった。木を切るための斧やノコギリを手放し、植林や育林、森林構造の調整を進めながら、火災や病虫害の予防に取り組んで木の健全な生長を守っている。

 重点国有林区を管理する中国竜江森林工業集団でトラクターの運転手をしていた潘徳国(はん・とくこく)さんは、地元の林区が森林自然を生かして風景区に生まれ変わり、観光客が増えたことを受け、民宿の経営を始めた。林区では多くの人が潘さんのような転身を遂げている。

中国黒竜江省の林区、環境に配慮した発展理念を実践

中国竜江森林工業集団の苗圃(びょうほ)。苗木は4月中旬に山に移植される。(3月12日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

 双峰林場とも呼ばれる「中国雪郷」風景区は原生林の風景を生かし、中国で最も有名な氷雪観光地の一つになった。この冬の観光シーズンには100万人以上が訪れたという。

 豊富な森林資源を生かした「林下産業」に力を入れる同省の重点国有林区は、観光業以外にも天然キノコや白樺樹液、中医薬材などの販売を手がけ、伐採停止後の林区の経済的苦境を効果的に和らげて、林区で働く人の収入増につなげている。

 大興安嶺と小興安嶺では森林蓄積量が増え続け、生態環境が日増しに改善されている。かつて絶滅の危機にあった野生の東北虎(アムールトラ)も頻繁に目撃されるようになった。中国東北部の林区では、人と自然の調和のとれた共生が形成され、古くからの森林が新たな活力に包まれている。(記者/王君宝)

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中国竜江森林工業集団傘下の食品企業が手がける蜂蜜やクルミ飲料。(3月12日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

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中国竜江森林工業集団の養豚場。(3月12日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

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中国竜江森林工業集団傘下の中医薬材加工企業。(3月14日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

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中国竜江森林工業集団が運営する観光トロッコ列車。(3月14日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

中国黒竜江省の林区、環境に配慮した発展理念を実践

中国竜江森林工業集団が運営する観光トロッコ列車。(3月14日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

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中国竜江森林工業集団が運営する観光トロッコ列車の待合室。(3月14日撮影、ハルビン=新華社記者/王君宝)

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