産後のセックス「再開した」は43%。「産後半年は子宮を休めるためセックスNG?」「産後は子宮内がきれいだから妊娠しやすいって本当?」の謎に迫る【専門家】

引用元:Chris Ryan/gettyimages

「たまひよ」アプリユーザーで、出産したママに「産後のセックスは再開しましたか?」と、質問。「再開していない」が約5割と高い数字になりました。「再開した」というママでもスムーズに再開……という人は少数派のようです。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務し、これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の浜脇文子先生に聞きました。

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再開はしたけれど……本音は違うという声も

産後のセックスは再開しましたか?

再開していない 47.7%
再開した 43%
その他 9.3%

「再開した」43%、「再開していない」47.7%と僅差に見えますが、コメントを読み解くと「再開したけれど……」として、不満を口にするママがチラホラ。産後のセックスに後ろ向きのママは過半数を超えると思われます。

「夫のことは大切」という再開・肯定派の声

「夫が大好き。触れ合いたかったから」(あなご)

「妊娠中から、ずっとお互いにセックスしたい気持ちはあり、産後も変わらなかったので会陰切開の傷と痛みの様子を見つつ再開へ。子どもがいても、夫婦として愛情表現のセックスはしたいなーと思ってます」(さっちゃん)

「産後1ヶ月で再開しました。正直とてつもなく痛くて、とても億劫でした。でも夫は育児に協力的だし断るのも気が引けて。一度喧嘩になったので嫌でもするようにしていたら、いつの間にか痛みはなくなり普通にできるようになりました」(たぽ)

「夫がずっと我慢してくれていました。私もレスにはなりたくなかったし、普通に出来るのなら再開したいなと思っていました……が、体調や育児疲れ、その他不安で、したくない時もあります(笑)」(つばめ)

「コミュニケーションみたいなもの。再開しなかったら、そのままレスになりそうだから」(ゆこママ)

「その時間があるなら寝たい」と、ため息まじりで再開した人の声

「『(誘われて)えー⁉』と、いうのが本音。朝4時起床で家事をしなきゃないのに、これ以上疲れたくないんだよね……」(ちゃまぴよ)

「産後3ヶ月くらいのとき、夫に誘われてなんとなく再開。しかし常に寝不足で体力もなかった時期だったので、翌日、疲れて激しく後悔しました。無理をするものじゃないな、と思いました」(うきたろ)

「子宮の戻りが良くなくてずっと延期できてほっとしていたのですが、医師から『問題なし』と、言われて再開。……正直、今でも義務感がすごいです」(なっちゃん)

その気になれない、夫にイラっとしてしまう「再開していない」声

「育児で疲れすぎて、そういう気持ちにならない」(ぴぃ)

というコメントが殺到。

「子育てが大変でその気になれないというか、夫の『気が向いた時に子どもの相手する』『大変なことは全部私に丸投げ』という態度にイライラ。そんな相手とセックスする気にはなれません」(ちゃ塩)

「脳内は100%我が子で占められていて余裕がありません。セックスするより我が子のそばにいたい」(ついとん)

「多分もう再開しないと思う」(ぶんぶん)

と、辛口のコメントもちらほら。夫婦として信頼関係はあっても、感情の変化で「その気になれない」という声も多くありました。

「夫を恋愛相手というより家族という見方になったからかな」(あいす)

産後の身体のダメージを理由にするママもいました。

「吸引分娩のため会陰切開し、膣内も切開縫合しました。産後、私の気持ちも整ったので行為に至ったのですが、信じられないくらい痛くて途中で終了。潤滑の問題というよりも、引きちぎられるような痛みで、怖くて怖くて2回目には踏み切れずにいます。いつになったらこの痛みがとれるのか……」(うー)

というお悩みも届きました。
さらに、

「産後6ヶ月は子宮を休ませた方が良いと聞いているので、大事をとっています」(リンリンりん)
「出産後は子宮内が綺麗なので妊娠しやすいと聞き、すぐ次ができたら怖いなーって心配はあったけど、再開しました」(momo)

という声も。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務し、これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の浜脇文子先生に聞きました。

「ママの心と体の回復が最優先だけど、夫婦のコミュニケーションであることも忘れないで」と、浜脇先生

「激痛が走った理由は、創(ソウ)の状態を見たわけではないので何とも言えませんが、創の回復過程で、創だけでなくその周辺の組織の回復過程が関係しているかもしれませんね。
個人差はあるので一概には言えませんが、お悩みのママは会陰切開に加えて膣内縫合をし、吸引分娩もしているので負荷が相当にかかり回復が遅れているのかもしれません。

産後のセックスは産後1ヶ月健診で医師の許可が出てからというのが一般的です。でも『体も気持ちも追いつかない』というママは多いようです。

帝王切開や会陰切開の回復は個人差があるうえに『キズがある』という精神的な不安要素、産後の心身の変化で性欲が落ちる、浸潤しにくくなるなど身体的要素、さらに育児疲れや寝不足で『それどころじゃない』という気持ちが追い打ちをかけます。

解決策は『気持ちも体も、時間をかけて段階的にゆっくりならす』でしょうか。

一気に問題を解決しようとはせず、キズの回復をみながら、心身的な不安要素を少しずつ解消しながら、様子をみて進めることが大事と言えます。

寝不足の育児生活なので『1分でも多く寝たい』という気持ちはわかりますが、夫婦のコミュニケーションも大切なはずです。実は産後のママから

『再開のタイミングがわからない』と、相談されることは珍しくありません。

聞けば妊娠中もせず、産後もその気になれず、夫も何も言わず、めんどくさくて先延ばしていたらタイミングがわからなくなった……という状態なのだそう。
しかも産後のセックス問題=夫への不満&コミュニケーション不足という構図がたびたび見られます。
再開できていないママも再開しても不安があるママも、めんどくさいと思わないで夫としっかり話し合ってほしいと思います。

そして『産後6ヶ月、子宮を休ませる』は、子宮を休ませると共に『年子になると子どものお世話が大変なので、半年間は妊娠に気を付けてね』という意味も含まれているアドバイスなのかなと思いました。

子宮が妊娠前の状態に戻るには約2ヶ月かかります。その後、妊娠は可能ですが母体の負荷を考えたら半年はあけるのが理想です。ただ100%の避妊方法がないので、『子宮を休ませて』という言い方になったのでしょう。『産後6ヶ月間セックスNG』という意味ではないと思います。

『出産直後は子宮内がきれいなので妊娠しやすい』は、医学的根拠はありません

濵脇文子(はまわき ふみこ)

助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。

文/和兎 尊美

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2023年10月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数214人)
※記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

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