北山宏光、「君が獣になる前に」で共演の玉城ティナの特技を称賛。「すごいテクニックなんです」

テレ東系で4月5日にスタートする、テレビ東京開局60周年 連続ドラマ「君が獣になる前に」(金曜深夜0:12)の記者会見が行われ、主演の北山宏光をはじめ、共演する玉城ティナ鳴海唯深水元基高橋光臣が登壇。それぞれの役柄やドラマの見どころなどを語った。

「君が獣になる前に」は、人間の暗部をとことんえぐり、その内に秘めた“獣性”を問う戦慄(せんりつ)のノワール・サスペンス。「ヤングマガジン」(講談社)で掲載された、さの隆氏による同名コミックスが原作となっている。

年末の都内ターミナル駅で史上最悪の毒ガステロが発生。この一件は、その死傷者の数が666人と“獣の数字”を数えたことから「The Beast」と呼ばれた。その場で死亡が確認された実行犯は、25歳の若手人気女優・希堂琴音(玉城)だった。琴音は葬儀社で働く神崎一(北山)の6歳年下で、たった1人の幼なじみだった。神崎は琴音のことを調べていく中で、何者かに殺害され、過去にタイムリープする。タイムリープ先では自分の気持ちを琴音に打ち明け、恋人同士となり同居をスタート。琴音が事件を起こすのを止めるため、神崎は奔走する。

会見冒頭のあいさつから、北山は「この漫画原作をどこまで実写化するのかっていうのも、本当に気になるところでしたし、やっぱりこの吐血の量といいますか、血の量とか、すごいことなっております。楽しみにしていただきたいなと思っております」と衝撃作であることを強調し、「『ヤンマガ』(ヤングマガジン)は、実は僕はもう20年ぐらい愛読していまして、この『君が獣になる前に』が出た時には『うわ、なんて面白いんだろ』ってずっと思っていたものが、自分がこうやって出ることになって、とても感慨深いなと思っていましたし、またこういうご縁に感謝しました。それで、これをどうやって実写化していくの?っていう、またそこにワクワクしてというのが最初の印象かもしれないですね」と出演を喜び、原作への思いを語った。

玉城は「(自身が演じる琴音が)史上最強のテロ事件を起こしてしまうということで、彼女がどうしてそういうふうになってしまったのかなと。本当に原作を読みながら何度も心を打たれてしまいました。ドラマになった時に、私にどういう琴音としての役づくりができるんだろうか?っていうのを非常に考えましたし、今までで一番クランクインの前にドキドキした作品でした。ヒロインというところもそうですし、やっぱり琴音をきちんと描けていないと、この作品は成立しない。真剣に取り組ませていただこう、いいチャンスだなと思いました」と意欲を高めて臨んでいることを伝えた。

琴音と同じ芸能事務所に所属し、琴音と姉妹のように仲がいい同期女優・宮ノ森真由役の鳴海は、「この作品は、すごく衝撃的なサスペンスの物語だと思うんですけれども、それだけではなくて、タイムリープ×サスペンスという、なかなか今までになかった面白い題材になっているので、原作と脚本を読ませていただいて、本当に率直にハラハラして面白いなと。これはやらせていただきたいって思う半面、生半可な気持ちでは挑めない作品だなとも思ったのが正直なところです。私は今まであんまりこういったテイストの作品に出演したことがなかったが故に、自分にとってもすごく挑戦でしたし、今も挑戦し続けています。なので、本当に毎シーン毎シーン緊張感を持ちながら丁寧に作っていかなきゃいけない作品だなと、すごく思っていました」と明かした。

琴音の主演映画に出資し、無実を信じる実業家・大久保玄奘役の高橋は、「(出演の)お話をいただいて、衣装合わせに行った時にすごく明るい現場だなと思って入ったんですけど、話している内容はめちゃくちゃグロテスクだと思いました(笑)。企画書の段階でも、もう企画書が熱を帯びているというか、本当にもう、こんな企画書初めて見たっていうぐらい、この作品で見ている人の気持ちをずっともっていくんだというようなものが目の前にありましたので、『うわ、この作品どうなるんだ? 主演の人、大変だな』と思いながら…(笑)」と北山に目を向けた。

それを受けて、北山は「もうあと1カ月で数キロ絞る覚悟でございます(笑)。きっと追い込まれるんじゃないかなと。でもね、結構みんなやってるし。それはやっぱり追い込まれた時の表情というか、伝わるものってあると思うので」と覚悟をうかがわせた。

続けて、高橋は「ただ、このテロ事件というものは、なかなかリアルに描きにくい題材かも分からないですが、それを限界までリアルに近づけて。自分たちのバイオレンスの部分もありますけれども、そこも極力制作に止められるぐらいのものを持っていけると、見る方も楽しいんじゃないかなと。刺激的な作品になるんじゃないかなと思っています」と期待を込めた。

琴音に関わる過去の事件を追う刑事・柳信一郎役の深水は、「今回も『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京)のチームで、また北山さん、監督と、その時のスタッフの皆さんが結構同じメンバーでやらせていただいて、前回もそうだったんですけど、本当に熱量がものすごいんですよね。作品に対しての愛があって。すごくいい現場です。ただ内容は過酷です。その代わり現場はやっぱりチームワークができているっていうのがあります。たぶん撮りながらどんどん変わっていくところもあったりすると思うんですよね。そういうのがすごい楽しみです。今回、僕は刑事の役なんですけど、今まで追われることが多かったので、やっと追うことができるなって(笑)。ちょっと不慣れな役ですけれど精いっぱい頑張ろうと思っています」と気合を感じさせた。

撮影での印象的なエピソードとして、北山は「血が出るという話なんですけど、ティナちゃんの吐血がめちゃめちゃうまい(笑)。あれ、結構難しいんです。どのタイミングで吐かなきゃいけないとか、そういうのがあるんですけど。伝わりづらいと思いますけど、ティナちゃんは血の量を2回に分けているんです。これ、すごいテクニックなんですよ。しかも、口に含んでることをあんまりバレないように、その直前までやらないといけない。それをしかも2回も分けて吐血っていうのはすごい。実はそういう特技を持っていらっしゃる」と、玉城の“吐血テクニック”を称賛。

これには「ありがとうございます。今回の作品の前に、また一つ肩書が増えました(笑)」と喜ぶ玉城に、北山が「“吐血女優”とか?」とポツリ。「嫌です! 変な見出しにされるからやめてください(笑)。“吐血女優”は絶対NGですけど、セルフ血しぶきとかも結構得意で。実は血のり関係はほかの作品でも参加できるなって思いながら。ちょっと自然にできちゃってました。褒めていただいてありがとうございます」と満足そうな笑顔で返した。

さらに、これまでの撮影で印象に残っていることについて、玉城は「やっぱりテロのシーンの撮影というのは、精神的にもすごく準備をしてから…と思いました。前日、本当に『明日撮影に行きたくない』なんて思ってしまうぐらいの大きなことでしたし、やっぱり私が琴音としてきちんと演じきれないと、そこの切迫感とか、緊迫感みたいなものが伝わらないなと思っていたので、非常にプレッシャーを感じた日でしたね。なので、もうたくさんの熱量もありました。『このシーンを成立させなければ』というものが、伝わってくるようだったので、その時のことは一番印象に残っています」と、特に力をいれて作り上げたシーンを振り返った。

鳴海も「そうですね…いっぱいあるんですけど、私の宮ノ森という役は、ちょっと本当に俳優か?というぐらい、探偵のような動きを常にしている役柄なんです。だから誰かに見つかったり、誰かを見つけたり。驚くリアクションを何回も撮ったりとか。あと、誰かに追いかけられて1日中走ったりするシーンだったりして『私、何の仕事してたっけ? 俳優?』みたいな感じで。すごいアクティブに動いていて、結構体を使うシーンがいっぱいあって大変でした」と吐露。

深見は「皆さんとは、そんなにまだご一緒のシーンがないんですけど、(印象に残ってるのは)監督ですかね。安里(麻里)監督が『なんか血が出てくると落ち着くんだよね』って言っていて(笑)。『やっぱり、この人、変わってる人なんだ!』と思って、すごく印象的だったんです。前作(『ただ離婚してないだけ』)も血が出てきましたし、今回も血が出てくるので、監督が落ち着くように作ってるんだなっていう。ただ、見る方は本当に覚悟が必要な作品だと思うので、裏で安里さんが楽しんでるという(笑)」と話した。

それを聞いた玉城は「安里監督とプロデューサーさんとお話した時に、『琴音という役がちょっと不安なんですけど…』みたいな相談をしたら『いや、もうティナちゃんしか、あの琴音ちゃんはきっとできないと思うから』って力強く言ってくださって。それが吐血のことでなければいいなと思って(笑)」と添え、笑いを誘った。

漫画原作を実写化することに関して、北山は「漫画っていうものから、人が演じることによって、よりリアル感が増すというのはもちろんその通りですけど。それにプラスして、やっぱり人がどういうふうに思っているかっていう表情をより豊かに伝えられると思うので、見た方がそれぞれのキャラクターに、より感情移入できるんじゃないかというのが、よさの位置つだと思います」と分析。

玉城も「やっぱり原作を原作として大事にするというのは、もちろん前提としてあるんですけれども、漫画をそのままトレースしてドラマにするということだけでは、やっぱり実写化した意味がないんじゃないかなというふうに思ってしまう。琴音のキャラクター、私が演じている役だけで言うと、漫画だともう少しやっぱりコミカルさであったりとか、漫画表現にしかできないようなセリフ回しなどもあるんですけれども、実写で人間が演じるからこそ、キャラクターらしさプラス、人間らしさっていうものが出せたら。なので、うそっぽくないように、人間の気持ちっていうものを上乗せして、いい作品に、2倍になっていけたらと思っています」と、実写ならではの見どころに言及した。

高橋は「アニメ原作とか、そういうものを実写化する時は、演者はすごくプレッシャーを感じると思うんですけれども、原作者の方だったりとか原作ファンの方だったりとか、そういう方たちが楽しみにして見ている中で、それを超えていけるようなものを現場でも表現していきたい、作っていきたいっていうのは、スタッフもキャストもそうだと思うので、ぜひそういうものを今回提示できたらいいなと。やっぱり絵とは違う、言葉の深みだったり、そういうものでいろいろ勝負できるものたくさんあるんじゃないかと考えているので、今回はそういう意味で、相乗効果が得られればいいんじゃないかなと思います」と見解を述べた。

最後に、北山は「君が獣になるなということで、タイムリープだったりとか、そのサスペンスだったりとか、いろいろ目が行きがちなものがあるんですけど、結局はやっぱり人の物語であるということと、誰もがどこかで心に持っているであろうこの“獣性”という、それにふたをして生きている僕たちがふたを開けた時に、人がどのようになっていってしまうのか。そのあたりがとても見どころになっていると思います。ぜひとも最後まで見てください」とアピールして会見を締めっくった。

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