相場の動きには波があり、大きく相場が動くときと小さく相場が動くときがあります。日々の相場には変動の波があるなかで、プロトレーダーはどのようにして安定した利益をあげているのでしょうか。ポイントは、トレードごとに徹底して管理していることにあると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。一体どのようなことでしょうか？ みていきます。
「ポジションサイズの管理」とは？
ポジションサイズの管理は、FXを行うにあたって基本的なリスク管理の方法です。ポジションサイズの管理とは、FXでトレードをする際に、どれだけのロットを張るかをトレードごとに考えることです。
為替相場には変動の波があり、まったく同じ相場の流れになることはありません。また、変動の幅もその日の流れによってさまざまで、大きく変動する日もあれば、小幅の変動で終わってしまう日もあります。日々の変動に大小があるFXでは、ポジションサイズを考慮してトレードを行うことが非常に大切です。
仮に、ポジションサイズを考慮しなかった場合、変動が大きい相場で想定以上の損切りをしてしまう可能性があります。自分の資産を一定のリスクの範囲で収めるためにポジションサイズを管理することは、FXにおいて必須のスキルといえるでしょう。
プロトレーダーがポジションサイズを慎重に管理する理由
プロトレーダーは、トレードごとにポジションサイズの管理を徹底しています。プロトレーダーがポジション管理を徹底する理由は、トレードごとに取るリスクを均等にするためです。
FXは基本的に利益と損失を繰り返し、トータルでプラスの収益をあげることが理想とされています。すべてのトレードでプラスの利益を出せればいいですが、実際には相場のイレギュラーなどテクニカル分析だけでは予測できないことがあり、想定以上の損切りを招くことがあります。すべてのトレードでプラスの成績を出せないということから、損切りの額をいかにして最小限にできるかがFXで利益を最大化するための課題となります。
プロトレーダーは、損切りの額を最小限にするために、自分が受け入れることができる最大の損切り額を事前に考えています。「取引口座の2%まで」など、自分の最大の損切り額を事前に設定し、いかなる場合でも事前に決めたリスク以上のトレードを行いません。損切りの幅を決めることで、起こり得るリスクを見える化させることも可能です。
その結果、勝率の高いトレードを行なっていれば、確率的にトータルの収支がプラスになります。
もしものときの備えがない初心者トレーダー
ポジションサイズの管理を徹底しているプロトレーダーに対して、収益が安定しない初心者トレーダーは、不意の相場変動で大きな損失を出してしまう傾向があります。
自分の取引口座に対して何％のリスクまで許容できるのかを明確にしていない初心者トレーダーは、起こり得るリスクを見える化させることができません。いくら利益を上げたとしても、利益以上の損失を出してしまう可能性があるので、安定しない収益曲線を描いてしまいます。
また、相場変動が激しいにも関わらず、ポジションサイズを大きく取ってしまった場合、それまでの利益を帳消しにしてしまうほどの損失を負ってしまうかもしれません。「もしも」の場合を考えずにトレードしてしまうと、長期的にみて長続きしない再現性のないトレードとなってしまいます。
初心者トレーダーであればあるほど、稼ぎたいという気持ちが先行してしまい、リスクを一定に保ち続けるという考えが薄れてしまうのです。しかし、FXにおいてトータルで勝ち続けている人ほど、稼ぎたいという気持ちを捨てて、リスクを一定に保ちながら利益を最大化していきたいという考えを持っています。プロトレーダーと初心者トレーダーのトレードに対する向き合い方の違いを理解するだけで、日々のトレードは変化するでしょう。
リスクを一定にすることで再現性の高いトレードが実現できる
今回は、ポジションサイズを管理することの重要性を解説しました。プロトレーダーのように安定的な収益をあげるためには、起こり得るリスクを見える化することが大切です。相場の変動幅に合わせてポジションサイズを調整することで、不意の変動に対するイレギュラーな損切りを最小限の額で収めることができます。
リスクを一定にして、勝率の高いトレードを行えば、自然と利益はついてくるでしょう。ポジションサイズを考慮しながらトレードをしたことがなかった人は、これを機にトレードを行う際に、自分の取引口座の何％をリスクにさらすのか、という意識を持ってトレードに臨むと良いでしょう。皆さんも自分で取引量を調整できる個人トレーダーの強みを、いま一度考えてみてはいかがでしょうか。
清水 一喜
株式会社ソーシャルインベストメント
執行役員
