JLPGA初の“ママさんルーキー”神谷和奏がツアーデビュー「すごいワクワク」

神谷和奏のキャディ(左)は夫でコーチの幸宏さんが務める(撮影/亀山泰宏)

◇国内女子◇富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 事前(4日)◇石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇6535yd(パー72)

昨年プロテストに合格し、ツアー制度施行後で初の“ママさんルーキー”となった神谷和奏がツアーデビュー戦に臨む。プロテストはもちろん、マンデートーナメントや全米女子オープンの日本予選といった戦いは経験していても、日本のツアー競技は夢の舞台。「すごいワクワクしていて、いまの段階ではあまり緊張していないですね」と笑顔で話した。

競技を続けながら2021年9月に長女・咲凛(えみり)ちゃんを出産。昨年、5度目の挑戦でプロテストを突破した。「夢を追いかける立場だったので、『いつまでゴルフを続けるのか』とか、そういった言葉もいただきました。自分でも、このままずっと続けていくわけにはいかない責任感もありました。ただ、ゴルフをできる環境は整っていたので、今すぐやめよう、諦めようという意思はなかったのかな」。今週も帯同して手伝ってくれている母をはじめ、周囲の協力と自らの努力で狭き門をこじ開けた。

練習場で調整。咲凛ちゃんはこの日、動物園に行ったとか(撮影/亀山泰宏)

「いま本当にいいバランスでゴルフ、子育てと向き合えている」と話すように、ルーキーシーズンを前にしたオフの過ごし方も神谷ならでは。保育園が休みとなる週末は練習場に咲凛ちゃんを連れていき、目の前の打席で並んで打たせるという。

歩けるようになったくらいからプラスチック製のおもちゃのクラブを持たせ、2歳になるとジュニア用の1Wをプレゼントしたとか。「アイアンでダフッたりして手を傷めたりすると怖いので、ドライバーで。遠くに飛ばしたい気持ちがあるみたいで、私が飛ばすと、手をたたいて喜んでくれる。『エミリもやりたい』って」。最近スイング動画を撮っていて面白い発見もあった。「左肘が曲がってインパクトしていて、私もそういうタイプ。似てるなってビックリしました」と笑う。愛娘の成長もモチベーションとなって、練習にも“質”重視で打ち込む。

今週は夫でコーチの幸宏さんがキャディを務める。「騒いだりすると迷惑がかかってしまうので…」と咲凛ちゃんにはギャラリープラザなどで待っていてもらうつもりだが、間違いなく最高の応援団だ。「人生初のJLPGAツアー。まず、私の母に見てもらいたいのが大きいです。娘はまだ理解できていないと思いますけど、少しでも早くテレビに映って、『これ、ママだよ』っていう姿を見せたいですね」。支えてくれた家族への感謝を胸に、新たな一歩を踏み出す。(埼玉県鳩山町/亀山泰宏)

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