【中継】町のシンボル「夜の森の桜」見頃 週末には「桜まつり」も 福島・富岡町

【中継・水津邦治アナウンサー】
福島県富岡町のシンボル「夜の森の桜」は、4月1日からライトアップが始まりました。夜の森の桜の開花は去年よりおよそ半月遅く、ほぼ例年並みだということです。

今いるのは、おととし立ち入り規制が緩和された場所で、きょうも多くの人たちが訪れて、この時期ならではのサクラのトンネルを散策しています。このようにきれいなサクラを見ることができるようになりましたが、富岡町では震災から13年経った今も、町の面積の6.7%が帰還困難区域で、戻ってきている住民は15%程度というのが現状です。

富岡町の帰還困難区域の中で今年2月、国による「特定帰還居住区域」に認定された地域では、現在も、多くの家屋で取り壊し作業が行われています。今後は、国による除染やインフラの整備など、住民の帰還に向けた復旧作業が進められます。

こうした中、富岡町の復興を考え、いち早く町にガソリンスタンドを再開させた方に話を聞きました。夜の森の桜のすぐ近くでガソリンスタンドを経営する古室良典さん(64)は、2017年にスタンドを再開し、避難先のいわき市から毎日ここに通っています。営業時間は、午前6時から午後7時まで。毎朝4時にはいわき市を車で出発するなど、忙しい日々を送っています。それでも、ふるさとに通い続ける理由は…。

古室さん「朝少しでも早く開けて、夜少しでも遅く閉めないと復興が遅れるのではないかなという気持ちがある」

この日もスタンドには多くの人たちが訪れていました。

古室さん「いやーありがたい。本当にありがいたいです。ここで色々なお客さんと接するというのがすごく楽しい。仕事をしていてそれが一番かな。色々な人と会えるというのが」

町の復興を願う古室さん、戻ってくる住民が増えることを期待しています。

古室さん「最初は自分の家も建つし喜んでニコニコしていたが、いざ住んでみると隣近所もいないし寂しいわけさ。だんだん半年ぐらいしてくると、またにこやかな顔になってくるの」

そんな古室さんは、夜の森の桜をすべて見ることができるようになった現状に胸を膨らませています。

古室さん「やっぱり解除して自由に歩けるようになったから、散策がてらずっと夜ノ森というのを感じてもらいたい。本当にサクラだけは、ここの誉れだもんな富岡町のサクラは」

震災後は、桜まつりが旧富岡第二中学校を中心に行われていましたが、今年から元々行われていた夜の森公園での開催が14年ぶりに復活することになりました。この夜の森公園は震災後に遊具などが新しくなり、会場の準備も進んでいます。

富岡町に春の訪れを告げ、夜の森の桜を楽しめる「夜の森桜まつり」は、夜の森公園を中心に4月6日と7日に行われ、多くの出店が出て様々なグルメが味わえるほか、ステージショーも行われます。

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