「ラジオたいそう きてくれてありがとう」 住民の健康を心配して幼稚園児が出欠カード作る 区長「提案に脱帽です」

 「きてくれてありがとう」-。地域の幼稚園児が作った出欠カードをきっかけに、ラジオ体操を毎朝、約1年半続けている人たちがいる。人口78人で、カボチャやウコンを栽培する農家が多い沖縄県名護市天仁屋区。体操によって体の調子も上々といい、参加者は「畑仕事も楽しい」と朝を心待ちにしている。(玉城学通信員)

 ラジオ体操のメンバーは同区の上里トキ子さん(75)、松川健一さん(69)、比嘉政浩さん(59)、松川勇さん(70)、同区書記の西島早苗さん(47)と眞喜屋實浩区長ら6人。

 きっかけを作ったのは、1年半前は幼稚園児だった同区の西島瑚波(こなみ)さん(緑風学園久志小2年)だ。夏休みに「ラジオたいそう」カードを参加者の名前入りで作成してプレゼントし、「ラジオたいそう きてくれてありがとう こなみより」と記したメッセージカードも渡した。

 6人は夏休みが終わっても、毎日午前7時前、現在は営業していない共同売店前の広場に集合。誰となくスマホから曲を流し、体操を始める。

 最高齢の上里さんは「両腕が痛くてバンザイの姿勢ができなかった。今ではゆっくり両手を上げられる」とうれしそう。カボチャ生産農家の健一さんは「毎朝参加して絶好調。畑仕事も楽しい」と話す。

 瑚波さんの母早苗さんは「人口が少ない中で、毎日区民と顔を合わせられることに幸せを感じる」と笑顔。眞喜屋区長は「天仁屋の就学児童は4人。瑚波さんが大人の健康を心配してカードを作り、提案してくれたのには脱帽です」と感謝した。

 瑚波さんは「私は学校だから大人の体操は見ることはできないけれど、大人も頑張っているので、私は国語を頑張る。大人になったら動物園の飼育員になりたい」と夢を膨らませた。

ラジオ体操を楽しむ天仁屋区民と、体操を続けるきっかけを作った西島瑚波さん(右から2人目)=3月25日、名護市天仁屋
西島瑚波さんが幼稚園児の時に作成した「ラジオたいそう」カード

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