家の中はカビの危険地帯だらけ! プロに聞く春から始めたいカビ対策と発生時の対処法とは

カビが発生しがちな浴室(写真はイメージ)【写真:写真AC】

春の訪れとともに、忍び寄ってくるカビ。本格的なカビ対策が必要になる前に、元となる汚れを一掃することで、カビの発生を防げるといわれています。そこで、カビの発生を防ぐためやっておきたい対策、梅雨に向けての継続的なケアなど、株式会社ダスキンの平野和代さんにお話を伺いました。

◇ ◇ ◇

カビが発生してしまう3つの要素

――お風呂場やキッチンなど、家庭でカビが発生しやすい場所はどこでしょうか?

「トイレ・浴室・台所などの水回り。押し入れやクローゼットなどの収納。たたみ、タンスや冷蔵庫、食器棚といった大きな家具の裏側。エアコン内部、布団やマットレスなどの下……と、家庭内でカビが発生しやすい場所はたくさんあるんです。

とくに台所や浴室などの水回りには、食べ物のカスや皮脂汚れなど、カビの栄養源となるものがたくさんあるため、カビが繁殖しやすくなります。また、見落としがちですが、寝具の下は寝汗や結露がつき、さらに体温で温められるため危険な場所になっています」

――カビの発生を防ぐため、春のうちにやっておくべき基本的な掃除方法について教えてください。

「季節関係なく、『20~30度の温度』『80%以上の湿度』『カビの栄養となる汚れ(食べ残しやホコリなど)』の3つの要件を満たすと、カビは発生します。温度、湿度の環境が整いやすいのが梅雨どきなので、それまでにカビ対策しておくのがおすすめです。除湿剤の交換・追加や、エアコンの掃除は早めに済ませましょう。

エアコンや浴室クリーニングを業者さんに依頼し、防カビ処理加工をしてもらい、カビが発生しにくい環境にするのもいいですね」

収納スペースに風を通すには、移動できるサーキュレーターの活用も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

こまめな掃除や換気など、カビの発生を防ぐ4つのポイント

――換気や乾燥アイテムの設置、アルコール消毒など、清潔を保ってカビの発生を防ぐため、継続的にすべきケアはありますか?

「ポイントは、大きく分けて4つあります。こまめな掃除、換気、湿度を下げる、風通しのいいレイアウトにすることです」

○ポイント1:こまめに掃除
カビはホコリや食べ物のカスなどを栄養源にして繁殖するため、こまめに掃除をして栄養源となる汚れを取り除くことでカビ予防になります。また、こびりついた落ちにくい汚れは、拭き掃除でしっかり落としましょう。

○ポイント2:換気
換気をあまりしないと、空気の滞留が起きて、室内の温度や湿度の上昇につながり、カビが繁殖しやすい環境になってしまいます。毎日こまめに窓を開けたり、換気扇を回したりして、カビの発生を防ぎましょう。また、室内だけでなく、クローゼットや押し入れなどの収納スペースの換気も大切。定期的に扉を開け、サーキュレーターなども活用して風を通すようにしましょう。

○ポイント3:湿度を下げる
カビにはさまざまな種類がありますが、湿度が60%以下になると、ほとんどが活動しにくくなります。除湿器やエアコンの除湿機能を使い、部屋全体を除湿するといいですね。収納部分、玄関などには除湿剤を置いたり、すのこを敷いたりするといいでしょう。

○ポイント4:風通しが良くなるレイアウトに
いくら換気をしても、室内の家具の配置によっては風通しが悪く、湿度があまり下がりません。また、収納スペースに隙間なく物を入れてしまうと空気の逃げ場がなく、風通しが悪くなり、湿度の高い空間ができてしまいます。収納スペースは、余裕を持たせた状態で使うようにしましょう。そのほか、湿気が空気中に滞留しやすくなるため、観葉植物を置くとき、壁際は避けてください。

カビが発生してしまったら、しっかり対処を(写真はイメージ)【写真:写真AC】

もしカビが発生してしまったら… プロが伝授する対処法

――実際にカビが発生してしまった場合、場所やカビのタイプ別での対処法を教えてください。

「場所ごとに使う用具や掃除方法が異なります。いずれの場合も換気をしっかりし、マスクや手袋を着用してください」

○ポイント1:浴室のタイル
浴室用洗剤(中性タイプ)、クリームクレンザー、カビ取り剤を使用します。目に入ったり滑ったりすることを防ぐため、ゴーグルや浴室用靴も着用してください。「混ぜるな危険」と表示されている塩素系と酸性タイプのものが混ざると、有毒塩素ガスが発生して、とても危険です。絶対に同時に使用しないでください。

掃除方法としては、浴室全体を水で濡らしたら、湿らせたブラシに浴室用洗剤をスプレーして全体をこすります。目地の部分の汚れが取れない場合は、水で湿らせたメラミンフォームのスポンジか、クリームクレンザーをつけた湿ったジーンズ地などでこすってください。その後、シャワーなどで汚れや洗剤を洗い流します。

カビが生えている場合は、カビ取り剤をスプレーするか、塩素系漂白剤をハケなどにつけてカビの部分に塗ります。そのまま5~10分ほど放置し、カビの色が消えるのを待ちましょう。シャワーなどで水をかけながら汚れやカビ取り剤などを洗い流したら、よく乾燥させてください。

○ポイント2:流し台の下
カビ取り剤とともに、綿棒やカット綿を用意してください。カビ取り剤をカット綿や綿棒につけ、カビの部分に塗ります。そのまま10分ほど放置したら、水に浸して固く絞った雑巾で、残った汚れやカビ取り剤を拭き取って乾燥させましょう。

○ポイント3:たたみに生えた緑や白のカビ
ブラシと、消毒用アルコール(エタノール70~80%濃度のもの)をスプレー型の容器と小分け容器にそれぞれ入れて使います。色落ちするおそれがあるため、目立たないところで一度試してからの実施がおすすめです。

まずはスプレーで消毒用アルコールをカビ全体に吹きつけ、15分ほど放置してください。小分け容器にブラシを浸し、たたみの目に沿ってカビをかき出していきます。たたみについたカビが取れるまで繰り返してください。きれいになったら、最後にもう一度消毒用アルコールをスプレーで吹きつけながら、たたみの目に沿って乾いた雑巾で拭きます。よく乾燥させたら終了です。

カビが生えてからでは、対処が大変になってしまいます。できるだけ発生させないよう、今からしっかり対策しましょう。

© 株式会社Creative2