紅茶はティーバッグよりリーフで入れたほうがおいしい? 〈ゴールデンルール〉で紅茶をおいしく飲むコツ【紅茶鑑定士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

駅ビルに入っている紅茶専門店や、通販でも、手軽に世界の紅茶の茶葉やティーバッグが買えるようになりました。そこで本稿では、長年日本紅茶協会の常任理事・紅茶鑑定士の田中哲氏による著書『もっとおいしい紅茶を飲みたい人へ』(主婦の友社)から一部抜粋して、茶葉とティーバッグの違いについて解説します。

Q.ティーバッグより、リーフ(茶葉)でいれたほうがおいしいですか?

A.品質のよい紅茶を選んで、正しくいれれば、どちらもおいしくいれることができます。

品質のよいリーフティー(新鮮で、乾燥度の保たれたもの)であれば、確かに格別のおいしさといえるでしょう。

ただし、ティーバッグとリーフティーは製品ごとにさまざまな香味の特徴があるため、お好みの紅茶製品を選んで楽しむことをおすすめします。マグカップでティーバッグをいれるときでも、カップを温めてから熱湯で抽出するなどを心がけるだけで、味や香りがひと味違うことがわかります。

ゴールデンルールに沿ってポットを使い、お湯の温度や茶葉の量、そして蒸らし時間(たとえば3分以上)を守って、しっかりといれたリーフティーの味わいは紅茶本来のおいしさです。

ティーバッグのなかに入っている茶葉は、1〜2分の短時間でもスピーディーに紅茶のおいしい成分を抽出できるこまかいサイズ(グレード)ですので、ポットを使ってゴールデンルールでいれれば、スピーディーにおいしくいれることができます。

ただし、やや大きめのBOP(セイロンなど)やOP(ダージリンやアッサムのリーフなど)の紅茶は、一般にはティーバッグ製品では手に入らないので、ポットでいれなければ、茶葉本来の香りと味を楽しむことはできません。また、ケニアやアッサムのCTC紅茶などは、ティーバッグでもリーフティーでも、抽出時間は2分程度の短時間でOKです。

結論としては、TPOに応じて、ティーバッグとリーフティーを使い分けて楽しむことで、あなた好みの紅茶の世界が広がっていくことでしょう。

※1:ゴールデンルールには、沸騰させたお湯でポットやカップを温める(ポットやカップを前もって温めておくことで抽出時の温度が下がらず、紅茶のおいしい成分がお湯に溶け出しやすくなります)、紅茶1杯分につき茶葉2~3gを目安にはかって入れる、1杯分につき熱湯150~160mlを目安にして注ぎ、蓋をして十分な蒸らし時間をタイマーなどではかって待つ、といったポイントがあります。

Q.ティーバッグの茶葉は質が悪いものですか? 同じ銘柄のティーバッグとリーフティーの中身は同じですか?

A.ティーバッグの紅茶は品質が劣っているということはありません。異なる点は茶葉のグレード、すなわち茶葉の大きさ・サイズです。

ティーバッグといってもさまざまな種類がありますが、共通していることは、熱湯に浸せば短時間でおいしい紅茶ができるということです。ティーバッグ内のかぎられた容積に、1杯分約2gの茶葉が包まれています。茶葉のグレードは、BOPF(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス:1~2mm)やDUST(ダスト:0.5~1mm)、CTC製法の場合はPF(ペコー・ファニングス:約1mm)、PD(ペコー・ダスト:0.5mm以下)で、リーフティー製品よりこまかくなっています。

ティーバッグでは、1~2分程度で十分な濃さの紅茶成分が抽出されること、つまり、紅茶特有の味や香り、見た目に美しい紅い水色が得られるように茶葉の選定とブレンドが行われています。

同じメーカーでパッケージデザインと銘柄が同じ紅茶製品の場合ですが、ティーバッグとリーフティーで使われる紅茶の種類は、一般にほとんど同じ品質の紅茶ができるように、同じ産地の茶葉の配合を行っています。異なる点は茶葉のグレード、すなわち茶葉の大きさ・サイズです。

ティーバッグは、1分から長くて2分くらいで十分な濃さが出てくるように、こまかい茶葉を使う必要があるからです。ポットでいれるリーフティーについては、3分以上の抽出時間を推奨していることが多く、大きめのグレードの茶葉が使われています。

(左から)ティーバッグのとリーフティーの茶葉

田中 哲

日本紅茶協会名誉顧問

紅茶鑑定士

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