中国湖南省で5億4千万年前の海綿化石を発見

中国湖南省で5億4千万年前の海綿化石を発見

約5億4千万年前の海綿化石。(資料写真、常徳=新華社配信)

 【新華社長沙4月5日】中国湖南省長沙市の湖南省地質博物館は、同館の技術スタッフが同省常徳市で実施した古生物化石産地の実地調査で、カンブリア紀初期の大型海綿化石を完全な状態で採集したと発表した。年代は約5億4千万年前で、完全な海綿化石の採集は1958年の開館以来初めてという。

 同館の古生物専門家、童光輝(どう・こうき)氏によると、今回の調査では化石標本15個を採集。うち大型海綿化石は、地球の生物の種類が急激に増えた「カンブリア爆発」より約2千万年早い。

 海綿は最も原始的な多細胞動物で、6億年前の海洋に出現し、海底の沈殿物の上で海水の中から栄養物を摂取していた。体内で鉱物(ミネラル)を作ることのできる最も古い生物で、海水中のケイ酸イオンを固定してケイ酸質の骨針を形成でき、地球上で最も早くケイ素循環に関わった動物とされる。

 童氏は「この時代の完全な状態の大型海綿化石は非常に珍しい。海綿動物の初期進化を研究する上で重要な科学資料になる」と指摘。化石の輪郭は高さ4センチ、幅最大3.5センチで、ケイ酸質の骨針からなる全体構造が完全に残っていると説明した。

 化石は暫定的な鑑定でクルミロスポンギアの一種と判断された。クルミロスポンギアは雲南省にあるカンブリア紀初期(5億1800万年前)の化石群「澄江動物群」によく見られる代表的な化石の一つとされる。(記者/張格)

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