中部のエネルギー各社 環境コンサル提案を強化 脱炭素化の目標設定支援 GX立案にも参画

テクノ中部は高度な遺伝子解析技術で多様なニーズに対応する

 中部のエネルギー各社が、環境コンサルティングの提案を強化している。脱炭素関連のサービスが社会で普及する中、エネルギー会社が得意とする高精度の分析力を前面に打ち出し、顧客の経営改善や業務の効率化提案に動いている。課題解決策の立案から設備導入、運用まで総合的な提案力も強みに最適な環境対策の実行を支援する。

ワンストップ対応
 東邦ガスグループは2022年7月から、取引先のカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)対策をワンストップで対応する脱炭素化コンサルの「CN×P(シーエヌピー)サービス」を本格的に始めた。脱炭素化に向けた目標設定などを支援する取り組みは、翌23年度に10件以上を受注した。製品別の二酸化炭素(CO2)排出量などを実測でリアルタイムに可視化できるメニューは、80件を超える引き合いがあるという。
 増田信之社長は、脱炭素化コンサルの取り組みについて「付随する(設備まわりの設計、施工など)エンジニアリングが非常に伸びている。お客さまのニーズをとらえ、エンジニアリング(に関する受注)も伸ばしていきたい」と話している。
 1日には東海市で脱炭素技術の見学施設「CaN―Lab(キャンラボ)」をオープンした。事業者や自治体向けに脱炭素関連のビジネスを広げたい狙いだ。
計画初期から助言
 中部電力グループの販売事業会社、中部電力ミライズ(本社名古屋市)は、顧客の脱炭素化に向けた設備の調達、施工から運用、保守まで、総合的な提案に努めている。3月から法人を対象に、再生可能エネルギーなどへの転換を図るGX(グリーントランスフォーメーション)のコンサルティングサービスを始めた。「(顧客が)設備投資を計画する初期段階から、当社が計画の立案に参画する」(担当者)ことで、CO2の排出量や、ランニングコストの削減など、設備投資の効果を最大限に引き出す設備を選定。潜在的な課題なども発見し、最適なシステムの構築を提案する。
地域の環境保全も
 脱炭素化に関する提案のほか、地域の環境保全につながる提案にも力を入れている。
 中電グループで唯一、環境に関する事業を行うテクノ中部(本社名古屋市港区)は、遺伝子解析を活用した特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の生息診断の提案を強化している。外来カミキリは、サクラやウメなどに寄生し、樹木内部を食い荒らし、樹木を衰弱・枯死(こし)させる厄介な生物。名古屋でも19年6月に初確認され、樹木被害が拡大している。テクノ中部では、幼虫の糞(ふん)に残されたDNAから外来カミキリのものかどうかを分析。対策を提案する。
 同検査を含む「環境DNA分析」は、14件の実績がある。環境調査会社や地方自治体から引き合いがあり、「遺伝子解析技術でさまざまなニーズにこたえたい」(環境事業本部責任者)としている。

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